撮影:hirotomo t
レシートを1枚10円で買い取るアプリ「ONE」。ワンファイナンシャルが6月12日にはじめたサービスは話題となり、同社によれば約8.5万ダウンロードを記録した。約7万人が24万枚のレシートを登録したが、利用が増えすぎたためか当日のうちにサービスを停止した(18日に中古車買い取りのDMM AUTOと提携して「ガソリンスタンドのレシート買い取りキャンペーン」という形で一部再開した)。
ONEがやっていることは消費者の購買データ調達。TポイントカードやPontaカードなどの共通ポイントカード提供会社と似たようなことをやっている。購買データビジネスとしてレシート1枚10円という値つけは妥当なのだろうか?
ポイントマーケティングに詳しいエムズコミュニケイトの岡田祐子代表に聞いたところ、一般的な共通ポイント運営会社と比べると、データを調達するまでにかかる運用コストのちがいにメリットがあるのではないかという。
「確かに、ゴミで捨てる、ただのレシートが1枚10円のお金に変わるというのは誰しも、『ほんとに!?』と気を引く話かと思います。
一方、10円の値付けの適正についてです。一般的に共通ポイントの運営会社は加盟店で購入した金額にポイントを1%程度付与することでポイントカードを提示してもらい、そこで得た個人に紐づいた購買情報データをビジネスにしています。
これらのデータは主には、欲しい企業に対し、メールやDMをターゲットを絞って送る際に活用したり、データ分析をしてレポート化したりして活用されています。たとえば、メール1件送付するにあたってのデータ使用料は数円くらいです。
ただし、データをマネタイズするまでには、加盟店からの手数料等でまかなっているとはいえ、共通ポイント運営費も含めそれなりにコストが掛かっています。
ワンファイナンシャル社は、1枚10円で情報が収集できるというしくみを提供しているだけなので、共通ポイント運営会社のように加盟店企業を開拓したりフォローしたり、システムを提供したりといった手間もかからないことを考えると、コストに見合うと判断したのかと思います。
共通ポイントカードを出してもなかなか貯まらないという不満を持つ消費者なら、1枚10円でお金に変えられる本サービスは有用だと言えるでしょう」(エムズコミュニケイト 岡田祐子代表)
岡田代表の見立てにしたがえば、ワンファイナンシャルは、共通ポイント運営会社から加盟店にまつわる部門を「中抜き」することで、レシート1枚10円という破格の買い取り価格に設定できたといえそうだ。
問題はサービス完全再開までにどれくらい時間がかかるかだ。サービスをまるごとまねしてくる競合もあらわれるだろう。約7万人の利用者に不信感を抱かせず、継続して使ってもらうためにも早期の復旧が必要だ。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味。赤ちゃんの父をやっています。育児コラム「男子育休に入る」連載。Facebookでおたより募集中。
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