その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第25回は、SEOや広告、メディア事業などを手がけるSpeee。お昼寝公認を謳うSpeeeが長らく運用する「仮眠・集中スペース」について、社長室の久保北斗氏に聞いてきた。
仮眠や集中作業もでき、いつでも逃げ込める安心感がある
アウトプットを高めるための生産性は、会社によってさまざまなとらえ方がある。本連載でも、パフォーマンスを上げるため、満員電車での通勤をやめた会社、社員に加圧トレーニングを義務づける会社、24時間飲酒OKな会社などの事例を紹介してきた。一口で生産性向上といっても、そのアプローチは各社各様というわけだ。
お昼寝公認を謳うSpeeeの社屋には、各フロアに仮眠・集中スペースが用意されている。「雑魚寝用のスペース、布団が用意されたスペース、リクライニングソファのあるスペースのほか、漫画喫茶のような個室で、モニタをつなげるスペースもあります」(久保氏)とのこと。空きスペースや会議室を開放しているのではなく、カーテンで仕切られた専用区画なので、安心して利用できる。
仮眠・集中スペースとなっているが、利用用途は限定していない。仮眠をとっても、仕事に集中しても、体調不良で休んでもOK。コーディングや企画書作成に集中していたり、体調不良のときに体を崩しながら仕事したり、思い思いに使っているという。「たまたま横に布団があるだけで、仮眠もできるよという感じです」(久保氏)とのこと。予約も不要で、カーテンが空いていればふらっと入れる気楽さが人気の秘密だ。
実際に利用した感想を久保氏に聞くと、「外出が続いて足が重いときなど、やはり一休みすると体が楽になります」とのことで、リフレッシュ効果は大きい。取材に同席した女性社員も、「いざとなったときにそこに逃げ込めるというのは、心理的な安心感を得られます」とコメント。ある意味、学校の保健室のようなプライベートスペースがあることは、就業環境としてプラスに働いているのは間違いないようだ。
性善説に則って、なるべくルールでしばらない文化
これら仮眠・集中ブースは、創業当初に作られた仮眠室が元になっており、運用されてから実はかなり時間が経っている。「当初は『どうせ寝るならちゃんと寝ましょう』という目的で作られたのですが、ルール違反や性善説を逸脱するような行為もなかったため、フロア増床のたびに仮眠・集中ブースが増えていきました」と久保氏は語る。
現在、別ビルも含めて、12ブースが運用されており、利用率も高い。「稼働率をとったわけではないですが、すごく使われています。空いているのは、朝くらいですかね(笑)」とのことで、社員の満足度も高い。
もちろん、仮眠も時間制限があるわけではない。「重要なことは仕事で成果を出すこと。使用時間や使用回数を制限するのは社員を信頼していないことになるので、方針や思想だけを共有して、なるべくルールでしばらないようにしています。これは会社の文化なのかもしれません」(久保氏)というのが根底の思想。社員の自主性を重んじ、快適なインフラと制度を整えるのがSpeee流。エンジニア向けに椅子やPCを購入したり、社内のライブラリを充実させたりといった取り組みもその一環と言える。
会社が小さかった頃は、ビジネスの拡大が優先だったため、働き方を考え直す余裕はあまりなかった。しかし、創業から10年が経ち、従業員400人規模まで会社が成長したことで、大きく状況は変わった。女性社員や家族をを持つ社員の比率が増え、エンジニアや営業、マーケティングなどさまざまな職種が増え、必要なタイミングで働き方を考え直して来たという。「総務」ではなく、あえて「コーポレート推進グループ」として制度や文化について考える久保氏は、「生産性が高くなる働き方というテーマを、これからも試行錯誤して続けていきます」と語る。
会社概要
「解き尽くす。未来を引きよせる。」というミッションのもと、先端的な事業開発により、社会に存在する様々な課題の解決に取り組む企業です。デジタルマーケティング領域におけるデジタルコンサルティング事業、不動産・医療・人材領域における、デジタルトランスフォーメーション事業など幅広い領域に展開しています。提供するサービスにはネイティブアド配信プラットフォーム「UZOU」、不動産査定サービス「イエウール」、データプラットフォーム事業の「Datachain」などがあります。
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