IDC Japanは5月30日、日本国内のトラディショナルPC市場出荷実績値について発表した。2018年第1四半期(1~3月)の国内トラディショナルPC出荷台数は、法人市場が前年同期比6.0%増の205万台、家庭市場は同比9.9%減の108万台、両市場あわせて同比0.1%減の313万台になったという。2016年第3四半期から続いていた成長は、一旦減速する結果になったとのこと。
法人市場だけを見ると、成長トレンドが継続しており、今後も好調を維持すると予測。過去の数四半期は大企業が成長を牽引していたが、この現象はWindows XPサポート終了以前にも見られたとのこと。大企業が新しいOSの移行に向けた作業を、時間的余裕を持って開始し、サポート終了を待たずに移行するためだという。Windows 10の移行も現在は大企業を中心に進んでいるが、IDCはまもなく中堅・中小企業にも波及するとしている。
家庭市場については、昨年第1四半期~第3四半期が好調だったため、昨年第4四半期以降の需要を多少先食いしている。また好調な家電に支出シェアを奪われていることが考えられるという。
カンパニー別の出荷数上位5社は、NEC レノボグループ、富士通、日本HP、デル、東芝。
NEC レノボグループは、法人市場は前年同期15.7%増、家庭市場は同比13.0%減。法人市場のNECおよびレノボ両ブランドの復調が目立ったという。全体は同比3.6%増で、法人市場の好調が家庭市場の不調を補うかたちになったとのこと。
富士通は、法人市場が同比7.9%増、家庭市場は同比24.6%減、全体は同比0.4%増。法人市場ではとくに大企業セグメントの伸びが顕著で、公共および家庭市場の落ち込みをカバーしているという。
日本HPは、法人市場が同比4.6%増、家庭市場は同比2.5%増、全体は同比4.3%増。トップ5カンパニーのなかでは、両市場をあわせた全体市場でもっとも高い成長率を示したという。
デルは、法人市場が同比4.2%増、家庭市場は同比3.0%減、全体は同比2.0%増。本来強いはずのデスクトップPCで伸び悩みが続いているという。
東芝は、法人市場が同比0.5%減、家庭市場は同比25.6%減、全体は同比11.1%減。低調が続く東芝だが、ノートブックPC市場で第3位を維持しているという。
IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は「NECレノボ グループと富士通の戦略的パートナーシップ契約が5月に正式に締結した。IDCでは、このパートナーシップは部材調達における協力関係に留まり、富士通PCの製品計画、製造、マーケティングや販売の戦略立案・実行には独立性が確保されるとみている。調達のコストメリットを享受する富士通PCがシェア拡大路線へ向かうのか、とくに2020年まで拡大が予想される法人分野でどう動くのか注目している」と述べている。