今回のことば
「計画達成までの時間軸を見直すことにした。私は、社長として、引き続き、富士通の変革に取り組み、目指すべき姿の実現が確実に視野に入るレベルに到達すべく努力する」(富士通の田中達也社長)
富士通の田中達也社長は、社長就任後に掲げた残任中の目標達成を見送る考えを明らかにした。
田中社長は、2015年6月に社長に就任。同年10月に発表した中期経営方針のなかで、社長在任期間中に営業利益率10%以上、フリーキャッシュフロー1500億円以上、自己資本比率40%以上、海外売上比率50%以上を目標に掲げていた。
そして、マイルストーンとして、2017年度には営業利益5%ゾーン、2018年度には営業利益6%ゾーンを目指すとしていた。
だが、最初のマイルストーンとなる2017年度実績では、売上収益は前年比0.8%減の4兆983億円、営業利益は55.4%増の1824億円。当期純利益については、前年比91.4%増の1693億円と過去最高を記録したものの、営業利益率は4.5%となった。四捨五入をすれば、5%ゾーンに入るともいえるが、田中社長は、事業売却益などの特殊要因を除く、本業ベースとしており、それによると、本業ベースの営業利益は1296億円となり、営業利益率は3.2%。約550億円の計画未達になったという。
また、2018年度の業績見通しは、売上収益が前年比4.8%減の3兆9000億円、営業利益は23.3%減の1400億円となり、営業利益率は3.6%。本業ベースでも3.6%となり、マイルストーンとして打ち出した目標を下回ることになる。
田中社長は「当初は2015年度、2016年度でビジネスモデル変革をやりきり、『つながるサービス』に経営資源を集中した成果を、2017年度以降、利益率向上という明確な形で表していく計画であった。だが、遺憾ながら、現実はこの計画とは乖離している。2017年度の計画未達であったのに続き、2018年度は減収減益予想と、期待に反することになり、申し訳なく思う」と述べた。
そして、「デジタル時代において、グローバル競争を勝ち抜いていくためには、営業利益率10%以上などのレベルに達することが必須であるという考え方に変わりはない」としながらも、「ターゲットに至るまでのプロセスについては、この3年間の結果を踏まえ、達成までの時間軸を見直すことにした。私は、社長として、引き続き、富士通の変革に取り組み、目指すべき姿の実現が確実に視野に入るレベルに到達すべく努力する」と語った。
営業利益率10%以上の目標だけでなく、フリーキャッシュフロー1500億円以上、自己資本比率40%以上、海外売上比率50%以上の目標に関しても、社長在任期間中の達成を見送ることになる。営業利益率および海外売上比率については、再考が必要だといえよう。
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