日本でAndroidスマホといったら「Xperia」! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。
「Xperia arc SO-01C」から1年、2012年の第1号として登場したモデルが「Xperia NX SO-02D」です。
当初、海外では先行して同型モデルが「Xperia S」という名称で発表されましたが、国内ではdocomo NEXT seriesのひとつ「Xperia NX」として発売されました。
Xperia NXのデザインは、背面がアーチ状に膨らんだラウンドフォルムに、正面から見ると平面と鋭角的なラインとの組み合わせになっています。背面の感触は、しっとりとマットな質感の素材を採用して、手で触っても指紋が目立ちにくく、総じて「Xperia arc」の弧を描くデザインとは真逆ともいえるコンセプトです。
側面に備える物理キーは金属パーツを採用し、イヤホンジャックやカメラ周りにも金属処理がしてあり、全体的にシンプルながらもオシャレな雰囲気を醸しだしていました。カラーバリエーションは、ブラックとホワイトの2色のみ。
一番の特徴は、本体の下部にある「Floating Prism」(フローティングプリズム)。透明なライン部分に「戻る」「ホーム」「メニュー」の3つのアイコンが描かれ、着信時や操作している時に白いLEDで光るギミックが施されています。
ディスプレーサイズは、4.3型で720×1280ドットの高解像度に。今でこそフルHD(1080×1920ドット)が主流ですが、当時「Xperia arc」の解像度(480×854ドット)からすると高解像度化したこともあり、写真や動画を高精細に楽しめるようになった事は大きなトピックでした。輝度も「Xperia arc」比で約25%アップし、屋外でも視認性が向上。また、色彩を鮮やかに表現する「モバイルブラビアエンジン」や、光の反射を抑えて色彩をあざやかに表示する「Clear Black Panel」を採用しています。
スペックは、SoCがSnapdragon MSM8260 1.5GHz(デュアルコア)、メモリー1GB、内蔵ストレージ32GB。通信方式は送信時最大5.7Mbps、受信時最大14MbpsのFOMAハイスピードに対応しているほか、Wi-Fi(IEEE802.11g/b/n)、Bluetooth ver. 2.1 + EDRを搭載。OSは、Android 2.3でバッテリー容量は1700mAh。
本体のサイズは、約64×128×10.6mm、重さは約144g。
SoCの性能が良くなったことでパフォーマンスが一気に向上し、全体的にキビキビとした挙動になり、内蔵ストレージにも余力ができたことでAndroid端末としての使い勝手が格段に良くなりました。
ちなみに、Xperia NXにはmicroSDカードスロットがなく、その代用としてmicroUSBカードリーダーが付属。このmicroUSBカードリーダーにも、しっかりとSony Ericssonのロゴが入っています。ちなみに、SIMカードの形状がmicroSIMカードに変更になったタイミングでもありました。
背面には約1210万画素の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R for mobile」、F値2.4の明るいレンズを備え、手ブレ補正やノイズを抑えるメインカメラを搭載。カメラキーを長押しすることで、スリープモードからキーロック解除をせずにカメラが起動してすぐに撮影できたり、撮影間隔約0.5秒(AF固定)の素早い撮影が可能に。 動画撮影時でも手ぶれ補正に対応し、解像度1920×1080ドット、フレームレート30fpsのフルHDでの撮影ができるようになりました。
また、フロントカメラも約130万画素を搭載し、720pのHD動画まで撮影できるようになり、前後ともにカメラ機能が大きく進化しています。
音楽再生機能としては、重低音や左右のバランスよく音が聴こえる「クリアオーディオ」機能や、好みの音質に設定できる「マニュアルイコライザー」、楽曲をシーンや気分ごとにわけて選べる「おまかせチャンネル」など、同社のオーティオプレーヤー「ウォークマン」で採用されている技術を採用して、音質・使い勝手ともに向上。
そのほか、Xperia NXとテレビをHDMIケーブルで接続すると、テレビのリモコンで操作できる「ブラビアリンク」といった、家電製品との連携も可能になりました。
Xperia NXにはワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信といった日本独自機能が搭載されていませんでしたが、それはこの後に発売される「Xperia acro HD SO-03D」へと続くこととなります。
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