HDR対応の液晶パネルや顔認証に対応するIRカメラなど
機能面での強化に注目
機能面に目を向けてみよう。大きな変化となっているのが液晶パネル。前モデルと違って有機ELこそ選べなくなっているが、そのかわりHDR対応のWQHD(2560×1440ドット)パネルが選択可能となっている。
HDRは高い輝度と広い色域を実現したもので、より明暗のクッキリした、肉眼で実物を見たときと似た雰囲気で表現できるもの。テレビでの対応は多いものの、PC用のディスプレーではまだ一部が対応するだけだ。ノートPCでの対応は、かなり珍しい。とくに映像や写真などの色を扱うことが多いのであれば、HDR対応のパネルを選んでおきたい。
地味ながらユニークな機能として搭載されたのが、“ThinkShutter”。これは物理的にカメラを塞ぐスライド式のフタで、一時的にカメラを使えなくしたい場合に使用するものだ。
ビデオチャット中、カメラに映りたくない場合はソフトの設定を変更してといった面倒な手間が必要だが、ThinkShutterであれば、スライドさせるだけでカメラを隠せるため、素早く、そして確実に遮れるのがメリットだ。
普段からシャッターを閉じておけば、操作ミスでウェブカメラが動いてしまうという失敗も未然に防げる。
なお、オプションとなるもののIRカメラの追加も可能。これを追加すれば、Windows Helloの顔認証が使えるようになる。標準で装備している指紋認証よりも、さらに素早くサインインできるようになるだけに、余裕があれば追加しておきたい。
強く主張しない、さりげない
落ち着いたデザインへ変更
個人的によくやってくれたと感じたのが、性能にも機能にも影響しない部分、つまりデザイン面。本当にちょっとしたことなのだが、ロゴマークなどが存在感が薄く、さりげない物へと変更になっているのだ。
具体的に旧モデルと比較してみると一目瞭然で、天板とパームレストの“ThinkPad”文字がシルバーからブラックに、液晶面の“Lenovo”や“X1 Yoga”などが目立たない色へと変更になっている。
ブランドとしての価値もあるため目立たなくなるというのは賛否両論あると思うが、より実用性を重視したツールとしてのThinkPadという観点から見れば、この変更は英断ではないだろうか。
インターフェースをチェック
USBが1つ減っているが、実用面での影響はなし
インターフェースを見てみると、右側面には音声入出力、LAN、USB 3.0、HDMI、左側面にはUSB 3.1 Type-C×2、USB 3.0を装備している。このうちLANは付属のアダプターが必要なもの。有線LANケーブルが直接差せないのは残念だが、最近は出番が減っているだけにそれほど困ることはないだろう。
なお、前モデルと比較すると、左側面のUSB 3.0が1つ減ってしまっている。この点は残念だが、それでも左右1つずつのUSB 3.0とUSB 3.1×2があるだけに、実用上問題ないといえる。
なお、背面にはnanoSIMスロットとmicroSDカードスロットを装備。LTE対応モデルであれば、SIMカードを差してLTEでのデータ通信が可能だ。
ただし、LTEモジュールの発売開始は4月下旬が予定されているため、屋外でのデータ通信がしたいという場合はもうしばらく待つ必要がある。
1台のPCで場所を選ばず
フルに活用したい人に
ノートとタブレット2つのスタイルに切り替えられるだけでなく、ペン入力による活用法の拡大により、場所を選ばず多くの作業ができるようになるのが「ThinkPad X1 Yoga」の魅力。もちろん、直販サイトでスペックのカスタマイズできるので、用途や予算に応じて自分好みの組み合わせへと変更できる。
驚くような機能や尖った個性があるわけではないが、本気で使える仕事用ツールとして完成度が高いため、働き方改革でテレワークが増えるという場合でも、力強い味方となってくれるだろう。