「X1シリーズ」は、従来からの特徴を受け継ぎながらも新しい機能を積極的に取り入れ、名実ともにThinkPadシリーズのフラッグシップといえるシリーズだ。そのうちのひとつ、「ThinkPad X1 Yoga」は360度回転する液晶ディスプレーの採用と、手書き可能なペン入力に対応しているのが特徴となる変形2in1モデルだ。
数多くある変形2in1モデルの中でもとくにユニークなのがキーボードで、液晶を開くとキーが隆起し、液晶を閉じるか背面へと折りたたむとキーが沈む、というギミックを装備している。
タブレットへと変形させた場合にキー入力が無効にになるというPCは珍しくないが、物理的に押せない状態にするというギミックを備えているのは数えるほどしかない。キーが沈むことで底面がフラットになり、持ちやすく、そして使いやすくなるというメリットがある。
X1 Yogaの魅力といえば、ペンは外せない。アイディア出しや修正指示、とっさのメモ、書類へのサイン、資料に載せる図やイラストの作成など、ペンが活躍してくれるシーンは意外と多いが、こういった時に困るのがペンが見つからないことだ。
Apple Pencilなどがいい例で、タブレット本体とペンを別々に管理しなくてはならないため、ペンを使おうとしたのに家に忘れてきた、気づいたら電池が切れていた、いつの間にか失くしていた……なんてことにもなりかねない。
その点X1 Yogaはペンを本体に収納可能。必要なときにすぐ取り出せ、使い終わったらしまっておけるため、ペンを忘れてしまうことはない。
また、本体に収納している間に自動で充電してくれるため、電池切れで困ることもないのがメリットだ。ただし、ペンは細身でやや短くなるため、書きやすさという点ではやや見劣りしてしまう。書き味を重視したければ、より大型の「ThinkPad Pen Pro」を別途購入して使うといいだろう。
2018年モデルでの進化は性能・機能・デザインと多数
パッと見では気づかないが中身は大きく進化している
ここまでは従来から継承した特徴だが、2018年モデルで改良された部分も多い。とくに目玉ともいえるのがCPU。第8世代Coreを採用することで、従来2コア4スレッドだったものが、4コア8スレッドへと倍増しているのだ。動作クロックが抑えられているため単純に性能が2倍とはならないものの、大幅な性能アップが期待できる。
実際どのくらい性能が変わるのか、「CINEBENCH R15」で試してみよう。これはCGレンダリング性能によってCPUの性能を調べてくれるベンチマークソフトで、数値が高いほど高速となる。
Core i7-8550U搭載モデルのスコアは、584cb。前モデルのCore i7-7500U搭載モデルのスコアが363cbとなっていたので、単純計算で約1.6倍も性能がアップしていることになる。従来であれば、世代が変わっても10~20%程度の性能向上にとどまっていたことから考えれば、大幅な飛躍といってもいいほどの向上だ。
もうひとつ性能面で注目したいのが、SSDの速度。試用したのが店頭モデルの最上位(20LD000UJP)ということもあり、NVMe対応(PCIe接続)で512GBのSSDが搭載されていた。
これは、サムスンの「MZVLB512HAJQ」というモデルで、V-NANDを採用したPM981シリーズのひとつ。同じX1シリーズとなる“Carbon”にも搭載されていたものだ。「CrystalDiskMark」でその実力を試してみよう。
結果は見ての通りで、リードで3GB/秒越え。ライトでも2GB/秒を越えており、単純にSATA接続と比べると、3~6倍くらいの性能差となる。ランダム性能にも強いので、ひと昔前のSSDと比べても、ファイルの解凍やWindowsアップデートなどでその速さが体感できるだろう。CPUの速さに見合うだけの高速SSDを採用しているという点で、素直に喜びたい。