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加速するドローン技術による未活用空域への進出

来るべきシンギュラリティに向き合うための「エクスポネンシャル思考」

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『脳とコンピューターネットワークが融合する』

 近年、脳の仕組みが急速に明らかにされてきました。どういう刺激を与えると脳のどの分野で反応が起きるかという研究は従来進んでいましたが、近年の研究はfMRIという仕組みを利用して、脳内の毛細血管とヘモグロビンの活動を図ることにより、もっと細かいレベルで脳内のどこで何が起きているのかが徐々にわかり始めています。

 実はこの研究は日本が最も進んでいるとされています。脳の動きから被検者が見ている画像を再構成するような実験も行なわれており、ぼんやりとではありますが再構築できるレベルまで来ているという実験結果があります。

 とはいえ、私も従来は、脳の全容を解明できるまではまだまだ先は長いと考えていましたし、おそらく脳科学者や医療従事者もそう考えているのではないでしょうか。しかし、ヒトゲノムの解析の終了時期を正確に予測したカーツワイルは、ここまでくればあとは早いと見通しています。私たちは倍々で進むエクスポネンシャルなスピードをもう一度思い出す必要があります。

 2017年、日本の『攻殻機動隊』の実写版映画であるハリウッド発の『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開されました。ここでもまさに、脳にケーブルを差し込んでネットワークに接続するという近未来の状況が再現されていました。

 実は、この分野はブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)と呼ばれ、かなり現実感をもって受け止められ始めています。

 2017年、イーロン・マスクが脳とコンピューターネットワークを接続するためにニューラリンクという会社を作ることを発表しました。彼がハリウッド映画に触発されたのかは疑問ですが、スペースXやテスラによる社会革新を実現した彼が技術的な可能性を見いだし、ここにパワープレイを仕掛けているのは注意して見ておく必要があります。

 脳とコンピューターネットワークをつなぐというのは一種の究極な形のように見えます。脳に直接ネットワークをつないで情報を流し込むことができれば、人間の五感というインターフェースはもう不要になります。人間の幸福や感情はすべて化学的な電気信号なのだとすると、インターネットを介して幸福感や感情を送り込むということも可能になるのかもしれません。

 インターネットを介して人間全体が一種の群知能として行動するのであれば、これは、『スタートレック』シリーズに出てくるボーグという種族に近い状態になります。ボーグは人間とロボットの融合体です。非常に高い知能をもち、人間を拉致し、改造してネットワークにつなげます。ネットワークの中心では唯一の核となる集合知が全体に対して指令を下しているのです。

 これはSFの話ですが、現実世界を振り返ってみると、私たちは携帯型のモバイル機器を常に持ち歩いていてすでに常時ネットワークに接続されている状態ですから、もはやボーグ化しているのかもしれません。


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