NECは5月10日、文教向けの「テスト採点支援ソリューション」を発表した。
文科省から「学校における働き方改革に関する緊急対策」が昨年12月に発信されたことを受け、教員の長時間労働を是正する動きが出ている。学校のICT化や採点業務の電子化などが推奨されているが、その一方で教員の側では事務の仕事が増え子供と向き合う時間が削られたり、授業準備の時間が十分に確保できないといった声があるという。そこで開発したのが、今回の授業準備と学習評価・成績処理のためのシステムだ。
Edlogの「クリップ採点支援システム」、富士ゼロックスの「DocuWorks 9 アカデミックライセンス認証版/1ライセンスパッケージ」(7200円)に、NECの複合機「Color MultiWriter 400F」(12万4800円)や「マルチスキャナA3/Color MultiWriter 9110C2」(17万8000円/29万8000円)シリーズを連携させている(希望小売価格、いずれも税抜)。最初の年度は、より安価なお試しセットの販売を計画している。
編注:価格表記に関して、より正確なものに改めました。(2018年5月14日)
このセットの名称が「テスト採点支援ソリューション」となる。価格はオープンプライス。テスト採点支援ソリューション(A4用紙対応)の推奨構成としては、EdLogクリップ採点支援システム(3ライセンス)、DocuWorks9(3ライセンス)、Color MultiWriter 400FA4カラープリンタ複合機(各ソフトウェア 3ライセンス構成)となっており、30万円程度の予算感になるとのこと。
特徴は解答用紙をスキャナーで読み込んでデータ化することで、採点そのものの効率化と集計の省力化ができる点だ。マークシートなど選択式の問題ではない、記述式の答案などでもスピーディーな採点ができる。従来と同じテストであっても、コンピューターの力を使えば採点と集計を高速化できるというのがEdlogの主張だ。採点を効率化するために、テストの作り方などを変えるのであれば、教員に受け入れられない。ここは変えずに、採点のみを効率化する点を重視しているとEdlogは説明する。全国の約10名の小中高の教員の意見を聞きながら、6万枚の答案を採点してUIを最適化した。
クリップ採点支援システムは、AIや文字認識など、自動採点ではない。
理由としては、第1にテストでは採点過程そのものに意味があると考えているため。答案に残った生徒の筆致や解答内容を教員が直にみることで、生徒の意識やつまずきやすいポイントに気付くことができる。第2にAIの精度は日々向上してはいるが100%ではないため。結局、見返すとなると実際の工数が減らせない。第3にデータをクラウドなどにアップロードして解析する手法を取ると、個人情報の管理といった問題がでるためだ。
一方、電子化することで、答案用紙がすぐ生徒に戻せ、フィードバックや態度変容を促せる点や、パソコン上で再生と同時にデータ化できる点もメリットになる。
Edlogの調査では117名の生徒に対して55問の英語のテストを実施した際の採点時間(正誤の判定・合計点数の集計・Excelなどへの転記)が従来の2.5時間から1.5時間に短縮。45%の時間効率アップが得られた。システムではスキャンした結果も残るため、その後の活用もしやすい。
他社既存のソリューションにない要素としては、特別な用紙が必要ない点。フォーマットの自由度が高く、過去に作成したテストをそのまま使える点、テスト前に追加される作業がない点、システムがシンプルで導入しやすい点などがある。クリップ採点方式を採用しており、設問ごとに回答を一覧して横ぐしで採点することもできる。スピードアップに加え、解答傾向や間違いやすいポイントをつかむことにも有益だという。
また、DocuWorks 9を使うことで、仮に50枚の答案を連続スキャンで一気に読み込んだ場合でも、生徒別にファイルを分けて出力するなど、実使用に適した形で文書管理ができる。