検証環境は?
それでは今回の検証環境を紹介しよう。前述の通り19日に発売された第2世代Ryzen全4モデルと、インテルのCore i7とi5から1モデルずつ、さらに初代Ryzenからも2モデル、合計8CPUを横並びで比べてみる。Ryzen 1000シリーズでは論理コア数でインテル製CPUを圧倒したものの、クロックが上がりきらないことやZenが持つボトルネックのおかげで“マルチスレッドは速いがシングルスレッドは遅い”、“CGレンダリングやH.264のエンコードは良いがゲームは駄目”という評価があったが、第2世代Ryzenはこれを覆せるのだろうか?
今回Ryzen環境のマザーはZ470で統一、メモリークロックは各CPUの定格に合わせてある。即ちRyzen 1000シリーズとCore i5/i7はDDR4-2666、第2世代RyzenはDDR4-2933とした。インテル環境も表記していない部分は全て共通のパーツを使用している。
AMDプラットフォームの検証環境 | |
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CPU | AMD Ryzen 7 2700X(8C16T、3.7GHz〜4.35GHz)、AMD Ryzen 7 2700(8C16T、3.2GHz〜4.1GHz)、AMD Ryzen 5 2600X(6C12T、3.6GHz〜4.25GHz)、AMD Ryzen 5 2600(6C12T、3.4GHz〜3.9GHz)、AMD Ryzen 7 1800X(8C16T、3.6GHz〜4GHz)、AMD Ryzen 5 1600X(6C12T、3.6GHz〜4GHz) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX X470-F GAMING(AMD X470) |
CPUクーラー | Wraith Prism |
メモリー | G.Skill F4-3200C14D-16GFX(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2933または2666で運用) |
グラフィックスカード | ASUSTeK ROG-STRIX-GTX1080TI-O11G-GAMING(GeForce GTX 1080Ti) |
ストレージ | Intel SSDPEKKW512G7X1(NVMe M.2 SSD、512GB) |
電源 | Silverstone SST-ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版(Fall Creators Uptade) |
電力計 | ラトックシステム REX-BTWATTCH1 |
インテルプラットフォーム(比較機)の検証環境 | |
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CPU | Intel Core i7-8700K(6C12T、3.7GHz〜4.7GHz)、Intel Core i5-8600K(6C6T、3.6GHz〜4.3GHz) |
マザーボード | GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7(Intel Z370) |
CPUクーラー | Enermax ETS-N31 |
↑Spectre/Meltdown対策も行った上でテストを行った。左がIntel環境、右がRyzen環境となっている。Ryzen環境はまだBIOSの提供が遅れているようだが、OS側でセキュリティホールを塞いだ状態
Ryzen 7 2700Xが圧倒的な伸びをみせる
いつものように定番のCPUベンチマーク「CINEBENCH R15」のスコアー比べから始めよう。同じ8コア16スレッドのRyzen 7 2700Xと1800Xの違いはもちろんだが、シングルスレッド性能でダントツの強さを誇るCore i7-8700Kにどこまで食らいつけるかに注目したい。
マルチスレッドテストで8コア16スレッドのRyzen 7が強いのは既に分かっていたことだが、12nmLPプロセスでクロックを上げた第2世代Ryzenのパワーは凄まじい。特にRyzen 7 1800Xに対する2700Xのスコアーの伸びは驚異的だ。下位モデルのRyzen 7 2700とのスコアー差が大きいのは、クロックが高いのはもちろんだが2700XのTDPが105Wと大きく、XFR2を活かしやすいからだと考えられる。
一方、6コア12スレッドCPUのペア(Ryzen 5 2600X/2600 vs Core i7-8700K)で見ると、RyzenはまだCore i7-8700Kに追いつけていない。同コア数CPU対決なら、1コアあたりの性能が高いインテルが優勢ということだ。
シングルスレッド性能はCore i5/i7が相変わらず強い。だが、Ryzen 7 2700Xはシングルスレッドでも178ポイントというスコアーを出しており、第1世代Ryzenに比べれば格段に強化されていると言える。シングルの弱さが指摘されてきたRyzenだが、ここへ来てDevil's Canyon(Core i7-4790K)並のシングルスレッド性能に仕上げてきた点は多いに評価すべきだろう。2700や2600等のXなしモデルはそれなりにシングルスレッドも遅いが、X付きであれば、Haswell以降のCore i5/i7をリプレースするに足るパフォーマンスが得られるだろう。
もう少しマルチスレッド性能が重視されるベンチマークで力比べをしてみよう。まずはCGレンダラーベースのベンチマーク「V-Ray Benchmark」を利用する。CUDAを利用したモードもあるが、ここではCPUのみを使ったレンダリング時間を比較する。
当然だが、CINEBENCHのマルチスレッドスコアーが高いCPUほど短時間で処理が終わる。唯一70秒台で処理を終えられたRyzen 7 2700Xは、CG作成者にとっては最強のコスパを発揮するCPUと言って間違いない。この差ならRyzen 7 1800Xからの乗り換えも検討すべきだろう。とはいえCINEBENCHでも判明した通り、同じ6コア12スレッドで比較した場合はCore i7−8700Kの方が断然速い。この点はCoffee Lake-Sのクロックの高さが勝利をもたらしたと言うべきだろう。
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