NVIDIAは3月22日、同社ブログにて仮想世界での自動運転技術に関する記事を公開した。
新技術開発プログラム「Inceptionプログラム」のメンバーでもあるイスラエルのスタートアップCognataでは、自動運転車両がトレーニングするための仮想空間を開発しているという。自動運転車両は自律システムが実際の路上で実際の運転手の行動や気象条件に基づいてトレーニングデータを蓄積する。とはいえ実験の安全性やコスト面での節約を考えれば、仮想空間でトレーニングを積ませるほうがメリットが大きい。
Cognataの仮想空間技術では、地図や衛星画像からのデータを使用して実際の都市のデジタル地図を自動的に生成。建物や道、車線や道路標識、さらには木の葉まで再現した都市の上に、他の車両や歩行者などの動的レイヤーを載せる。その仮想空間では、自律車両の検知機能とその応答をシミュレートする。
仮想空間では現実世界での試験では絶対に経験できないと思われる多様なシナリオで学習を積むことができ、雪が降り道路が凍結した状況で集中的に試験を行ないたい場合もすぐにその環境が提供される。CognataのシステムではNVIDIA DGX Stationを採用しており、現在ではシミュレートされた環境で同時に10台の仮想車両を走らせることができるという。
3月26~29日にカリフォルニア州サンノゼで開催される自動運転車と業界のカンファレンス「GTCシリコンバレー」ではCognataのCEOが「ディープラーニングを利用した自動運転車のシミュレーション」について登壇する予定。