中国の新興イヤフォンブランド、KINERA(キネラ)の新製品「H3j」は、バランスドアーマチュア2発、7mm径ダイナミック型ドライバー1発のハイブリッド型。それをユニバーサルフィットのイヤーモニター型ハウジングに収めた、ケーブル着脱式のイヤフォンだ。
なるほど、マニア向けのスペック満載イヤフォンか、さぞや高いことだろうと思いきや、なんと価格は1万2980円。しかし、KINERAといえば、同じイヤーモニター型でバランスドアーマチュアとダイナミック1発ずつの「Bd005E」が、3890円という呆れるほどの安さで、昨年話題となった。
それを基準にすると、ドライバーが1発増えるだけで3倍近い値付けになるのか? 独自開発というバランスドアーマチュアドライバーは1発9000円もするのか? などと謎がいくつも浮かんでくるが、そもそもの基準がおかしい。H3j単体のスペックを見る限り、従来なら3万円はしても不思議はない。というわけで実際の中身を確かめてみよう。
スケルトンハウジングと特徴的なノズル
KINERAは広東省にある東莞宇泰電子有限公司(Dongguan Yutai Electronics Co.,Ltd)のブランドで、国内代理店は株式会社リアルアシスト。国内正規販売品として2機種目となるH3jは、中国で販売されている「H3」のブラッシュアップ版。仕様を日本向けに見直し、ドライバーやケーブルも違っているのだという。
ハウジングは薄いスモークスケルトンの樹脂で、ドライバーの配置や配線など中身は丸見え。ケーブルのソケットやシースーもクリアカラーで揃えてある。付属するケーブルは、イヤフォン側が0.78mmピッチの2pinコネクター、プレイヤー側が3.5mmステレオミニプラグで、マイクやリモコンは持たない。イヤーモニターらしくケーブルは耳掛け型で、耳にかかる部分には柔らかいチューブを被せてRを持たせてある。
付属品はシリコン製のイヤーピースが大中小の3種類と、キャリングポーチのみというシンプルさ。パッケージもそれほど凝ったものではないが、それで十分だ。
交換のためイヤーピースを外してみると、ノズルに音道が2つ設けられているのが興味深かった。2種のドライバーそれぞれ独立した音道を設けることで、共鳴管としてのレゾナンス周波数をチューニングしているはずだ。