富士通は、誰も踏み込めない"軽さと剛性の両立"を目指す
1キロ以下の13.3型ノートならコレだ!! 世界最軽量「LIFEBOOK UH」の秘密を開発陣に聞いてきた!![LIFEBOOK WU2/B3・UH55/B3・UH75/B3・UH90/B3] (4/5)
2018年02月19日 11時00分更新
富士通ならではの"堅牢性"の追求
―― ケースを肉抜きすると、強度の面が心配です。新「LIFEBOOK UH」シリーズは堅牢性をどのようにして実現しているのでしょうか?
石川氏 先ほどもお話しましたとおり、まずケースの裏側を0.1mmの薄さで肉抜きしています。このとき肉抜きの形を円状にして中心を残すことで、剛性が高くなるんですね。本当は平面でガーッと肉抜きしたいところですが、そうすると弱くなってしまいます。
―― 肉抜き部分が構造物(重量を支える部分)的な役割を果たしているということですか?
石川氏 はい、そのとおりです。このような形にすることで、深さは0.1mmしかないのですが、剛性も重量もだいぶ違います。
ちなみに、製品版ではキーボード面上部は肉抜きしていないのですが、実はもともと肉抜きを予定していたのです。しかし仕上がりを検証したところ、ちょっと剛性が足りなくてですね。我々はこれを「剛性戻し」と呼んでいるですけれども、一度計画したこの加工をキャンセルしています。そこまで耐久性については、ギリギリまで追求しているのです。
―― 試作機でも、剛性について試行錯誤を重ねている?
石川氏 軽さを極限まで狙うんですけれども、その極限をどこで線引するかという判断も重要です。実際には試してみないと分からない場合もあるので、実際に試作機を作ってちゃんと検証しながら、突き詰めています。
河野氏 評価機が想定よりもすごく軽くなってみんなで歓喜したんですけど、検証したらちょっと……、ということもありまして(笑)。
また、「イジワル評価」という、想定外の使い方を再現するを品質評価試験をやっていまして……。
石川氏 そうなんですよ。これが結構キツイ。マジでキツイです(笑)。たとえば、液晶ディスプレー部分を手で持つ、片手持ち上げ試験というのがあるんですけれども、これはホントにキツイです(笑)。
こちらは、従来からある製品品質評価試験の様子。これに加えて“イジワル評価”と呼ぶさらに過酷な品質評価試験があるという |
―― そのイジワル評価のようなテストは以前から行なっていたのですか?
石川氏 わりと最近になってからですね。このテストは、お客様の使い方が変化してきている点が背景にあります。モバイルノートの軽量化に合わせて、持ち運ぶスタイルが変わってきているため、それに応えるために実行しています。
弊社に修理品が送られてくるとその状況を確認するのですが、例えば、液晶部が壊れていたりだとか、煩雑に扱われたていたりという形跡が見られるというデータもあります。ではその点に関して、「我々は何ができるのか」「どのような検証が必要なのか」という点を常に検討しています。そのようにして考えられた検証を、現在は我々富士通のすべての製品で行なうようにしています。
松村氏 「LIFEBOOK UH」シリーズは"軽さ"に強くこだわっていますが、ユーザーに影響が出るような軽量化はやらないという意識を感じていただけるかと思います。やはり、使い勝手があってこその軽量化だと思っています。
―― こう使うと壊れにくいですよといったアドバイスなどはありますか?
石川氏 できれば、上下からの圧迫が少なくなるように使っていただけるといいと思います。例えばカバンに入れて持ち運ぶ場合、「LIFEBOOK UH」を"裸"の状態ではなく、ケースやサブバックに入れておくと塗装も剥がれないですし、圧迫されにくいのでオススメですね。
―― 液晶ディスプレーを開くとき角からではなく、真ん中からとか?
石川氏 そうですね。液晶ディスプレーを開くときは、フレーム中央部分のガイドを使っていただくのがオススメです。実は、このガイド部分はマグネシウムで補強されているので、ここに指をかけると全体が変形したりせずに、スムーズに開けられます。