NASに搭載するHDDのスペックで見逃せないのが、複数台のHDDを組み合わせることによる冗長性の向上や、大容量化を実現するRAID運用のサポートと、24時間365日稼働への対応だ。さらに、「IronWolf」シリーズは複数のHDDが隣接するNASでの運用に最適化した振動センサー機能「RVセンサー」や、200ものパラメーターでHDDの診断を行なう「IHM(IronWolf Health Management)」といった機能をNASに最適化したファームウェア「AgileArray(アジャイルアレイ)」に含んでいる。
「RVセンサー」は複数のHDDを隣接して搭載するNASに特化した機能で、容量4TB以上の「IronWolf」シリーズに備わっている。プラッタの回転やヘッドの移動にともない発生する振動をキャッチ。トラッキング性能の低下を予測し、事前にヘッド位置を補正することで、高精度なデータの読み書きを実現する。
一方、「IHM(IronWolf Health Management)」はASUSTORやSynologyといったNASメーカーとタッグを組むことで実現した、他社製品にはない「IronWolf」シリーズ用のHDD診断機能。
「IHM」は「RVセンサー」と同じく、容量4TB以上の「IronWolf」シリーズに備わっている機能で、一般的なHDDが備える自己診断機能「S.M.A.R.T.」(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)の10倍近い200ものパラメータでHDDの状態を診断する。HDD温度の異常といった基本的な異常状況に加えて、HDDへの過度な衝撃や振動、NASとの接続異常などを検知してくれる。
そのほか、24時間365日稼働するNAS向け機能のひとつとして、最適な電源管理を行なうことで消費電力を削減する機能や、RAIDパフォーマンスを低下させないエラーリカバリー機能。
さらに、マルチユーザーの最適化を謳っており、数多くのユーザーがアップロード、ダウンロードするNASを安心して使えるように、「IronWolf」では年間180TB、「IronWolf Pro」では年間300TBの作業負荷率制限(WRL)を備えている。
作業負荷率制限は見慣れないスペックだが、故障率に影響を与える負荷の目安で、Seagate独自の指標。信頼性の指標となる平均故障間隔(MTBF)と同じく、この数値が大きいほど、信頼性は高くなり、過酷にデータ読み書きを行なえる設計になっているという。
同社の一般用途向けのデスクトップHDDは年間55TBになるため、「IronWolf」で約3.3倍、「IronWolf Pro」で約5.45倍も向上している。ビジネスシーンでの過酷なデータ読み書きを視野に入れた設計だけに信頼、安心感は抜群に良い。