今回のことば
「2018年は創業100年という記念すべき年だが、これから先のことを考えると、事業の再スタートを切るという気持ちで望まないと、次の100年どころから、10年、20年先すら生き残れないという危機感を持っている」(パナソニックの津賀一宏社長)
パナソニックは、2018年3月7日に創業100周年を迎える。
その節目の年の最初のインタビューを、米ラスベガスで開催されたCES 2018の会場で実施した。
むしろ事業の再スタートを切るという気持ち
100年目となる2018年を迎えた津賀社長は、「確かに100年という記念すべき年ではあるが、これから先のことを考えると、むしろ事業の再スタートを切るという気持ちで望まないと、次の100年どころから、10年、20年先すら生き残れないという危機感を持っている」と厳しい表情で語った。
パナソニックの業績は成長軌道に乗ろうとしている。2018年3月期の業績見通しは、売上高が前年比6.2%増の7兆8000億円、営業利益は21.0%増の3350億円、税引前利益は18.2%増の3250億円、当期純利益は7.1%増の1600億円と増収増益を見込む。津賀社長も「2017年度の公表値のクリアについては、かなりの手応えを感じており、公表値をボトムに上積みしたいと考えている」とする。だが、津賀社長は変革の手綱を緩めない。
現在パナソニックには、4つのカンパニーがある。
そのうち、家電事業を担うアプライアンス社(AP社)と、車載関連事業を中核とするオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)の2社については「事業の方向づけができ、成長戦略を描くことができている」とするが、住宅関連事業を行うエコソリューションズ社(ES社)は「古い体質を持ち、日本での安定事業を主体としてきた仕組みを、将来に向けてどのような形にしていくのかを考えなくてはいけない」としている。
また、BtoB事業を担当するコネクティッドソリューションズ社(CNS社)に関しても「これまでは、BtoBとBtoCが混在しており、BtoBといっても箱売りが中心だったものをサービスやソリューションを主体にし、リカーリングによって利益を得る体質に変えなくてはいけない。CNS社に明確な方向付けができるかどうかが、これからの課題という認識を持っている」と語り、それぞれのカンパニーが置かれた立場で改革を図る姿勢をみせる。
こうした4つのカンパニーで構成されるパナソニックは、もはや創業時からの代名詞となっている「家電メーカー」という言葉だけでは表現できない企業に変貌している。
CES 2018では、家電の展示なし
それを象徴するように、CES 2018のパナソニックブースには、家電の新製品は一切展示されなかった。別のホテルに招待者だけを対象にした展示スペースを設け、そこに家電を展示した。
「2013年1月のCESのオープニングキーノートで、パナソニックはテレビだけの会社ではなく、BtoBに全面的にシフトし、さまざまなパートナーとともに顧客の生活するスペースでお役立ちする道を広げていく企業であることを示した。そして、その中核になる技術やモノづくり力は、長年に渡り家電で培ってきたものを利用することになると話した。
ここ数年のCESでは、それを体現するために、パナソニックブースから、できるだけ家電製品を減らしていくことに取り組んでおり、今回のCES 2018ではメインブースにおいて、BtoBやオートモーティブの展示にするポリシーとした」。
CES 2018のパナソニックブースでは、100周年にあわせて第1号洗濯機や第1号冷蔵庫などを展示してみせたが、今回のCESでみせたパナソニックの姿は家電メーカーでなかったのは明らかだ。
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