で、ゲーマー用Voltaはいつ?
以上でTITAN Vの検証は終わりだ。確かにTITAN VはすごいGPUだが、ゲームにおいては真価を発揮できるシチュエーションは限られている。解像度が低い状態でのパフォーマンスは少々心許ないが、WQHD以上、特にDirectX12ベースのゲームで効果的なようだ。
期待されるHBM2メモリーを採用したから、5120基ものCUDAコアを備えたから、あるいはL1キャッシュと共有メモリーの統合が効いたから、などさまざまな要因が考えられるが、今のところは何とも言えない。TITAN VのことをNVIDIA自身が「ゲーミング用GPU」と一言も言っていないのは当然の話である。
だが、この記事を読んでいる皆さんにとっては、いつこのTITAN Vがコンシューマー向けに降りてくるかが気がかりだろう。ネットでは次期GTX 2000シリーズにはVoltaと対になる“Amper(アンペア)”というコアが来る、といった説まで飛び出している。
ただ前述の通り、TITAN VをそのままスケールダウンしたものがGeForceに降りてくるとは考えにくい。TensorコアやFP64ユニットという“ゲーミング贅肉”をそぎ落とし、高クロック化しなければゲーミングパフォーマンスは劇的に向上しない。
これが実現した場合、今回のTITAN Vとはまた性能の傾向の違うGPUになるだろう。さらにTITAN Vで捨てたマルチGPUも必要になってくる。GPGPU用特化のTITAN Vとは別に、ゲーマー用に“ゲーマーのためのTITAN”、おそらく“TITAN Vx”のような製品を投入するシナリオはそう荒唐無稽な話ではない。
その一方で次期GTX 2000シリーズはPascal Refresh版であるという超現実的な予想もある。Fermiからこの方、アーキテクチャーは基本2世代で世代交代(Maxwellは実質1.5世代だが……)している経緯を考えると次期もPascalと考えるのが自然。何よりライバルと目されていたVegaの状況を考えると、NVIDIAとしては焦ってVoltaを投入する必要もないのだ……。
どちらの観測が的中するにせよ、今回のTITAN VのベンチマークだけではまだVoltaの真の実力を暴き出すことはできない。果たしてPascalを超える存在になるのか? ひとつだけ確かめられたのは、今年NVIDIAがどう動くのか、一瞬たりとも目を離すことはできないということだ。
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