電池駆動もできるぞ
軽さの理由は、筐体が樹脂成形だから。もちろん必要な部分に補強のリブは入っているし、剛性確保と、もしかしたらディフューザー効果も兼ねてなのか、フロントグリルはハニカム状のスリットで埋められている。
エンクロージャーは基板から独立した気室が確保され、左右ユニット間には隔壁も設けられている。フロントには左右にバスレフダクトも開いていて、パッシブラジエーターはナシ。ちなみに左右スピーカーの口径は、ギターアンプメーカーの流儀で「3インチ」と公表されている。普通に言えば7~8cm程度。
入力はBluetoothのほかに、楽器用のフォーンジャックと、背面ステレオミニのAUX IN、USBも使える。それぞれBluetoothとは排他利用ではなく、同時に鳴らせる。そもそもスマホやPCで音楽を鳴らしながら、楽器を弾くためのハードなのだから当たり前だが、そのへんはしっかりできている。
電源はDC19Vの付属ACアダプターか、単3電池8本で賄う。電池で最長8時間駆動できるが、パワーは大幅ダウンの2.5W+2.5Wの5Wに。実用的な駆動時間を確保するために、出力を落としたわけで、これは止むを得ない。家の中で音楽を聴くには、5Wでも十分なパワーだ。
独自技術「Acoustage」がデカい
とは言え、ACアダプターで鳴らしてみると、やはり50Wのパワーはすごい。音がガンガン前に来る。目一杯ボリュームを上げても、エンクロージャーが共振し始めるようなこともない。
ただし、パッシブラジエーターのような仕掛けはないので、部屋全体を埋め尽くさんとする、BOSEのBluetoothスピーカーのようなローエンドのエネルギーはない。これで低音ドコスカ出したら、2.9kgじゃ済まなくなる、ということもあるだろう。
その代わり空間がデカい。独自のバーチャル・サラウンド技術だという「Acoustage」が侮れないのだ。「WIDE」と書かれたボタンをポチっと押すだけで、どかーんと音場が左右に広がる。うおおお。
もっとも、この手のサラウンドエフェクトは、とくに珍しくはない。左右のスピーカーが近接している小型スピーカーの救済策だ。しかし、一般的には「原音忠実再生」の建前が足かせになっているのか、大して効かない。だからテストする側も、全然期待していない。
そこへ行くと、Adioのそれは、まあ盛大だ。そもそも幅36cmのワンボックススピーカーで、原音もへったくれもない。だったら聴いて気持ちのいいようにしておこうぜ、という楽器メーカーらしい出音第一主義的大胆不敵さを感じる。Bluetoothスピーカーとしては、すごいキャラ立ちで、これだけで選んでもいいくらいだ。
ちなみに、このサラウンド効果、音楽の再生よりも、ギターやベースをつないだ方がすごい。特にコーラスやディレイのような、ステレオ系のエフェクトをかけると、これ以外のアンプで弾くのはイヤ、という程度にすごい。このページとおしてすごいしか言ってない。