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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第435回

コードネーム“Knights Hill”こと第3世代Xeon Phiが開発中止

2017年11月27日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Knights Coveで時間を稼ぎ
その次のKnights Runが本命

 ではどうするのか? というのが次の話。今のところインテルはKnights Hillに代えてKnights Coveという次の製品を2019~2020年の段階でまず投入、次いでKnights Runという製品を2022年までに投入し、これがAurora用になると言われている。

Xeon Phi

 まずマイクロアーキテクチャーだが、Knights Hillは基本的にKnights Landingのプロセス微細化版と目されていた。Knights Landingは14nmプロセスを利用し、Silvermont(つまりAtom系列)の整数パイプラインにAVX512エンジン×2を組み合わせたコアを最大72個搭載する。

 AVX512エンジンはDP(64bit)の値を8つ同時に扱え、しかもFMAD(Fused Multiply and Add:積和演算)処理が可能なので、1サイクルあたり16FLOPS相当になる。ハイエンドの「Xeon Phi 7290F」の場合、72コアで1.5GHz駆動なので、16(FLOPS/サイクル)×72(コア)×1.5GHz=3456GFLOPSという計算である。

 これがKnights Coveでは、コアがIceLake-SP(Skylake-SPの10nmプロセス版)に32GBのHBM2を搭載したものになると、もっぱらの噂である。コア数は38ないし44だそうで、こちらもSkylake-SPに1つのコアにAVX512エンジンを2つ搭載したものになる。仮に動作周波数が3GHzと仮定すると以下の性能になる。

  • 38コア:16(FLOPS/サイクル)×38(コア)×3GHz=3648GFLOPS
  • 44コア:16(FLOPS/サイクル)×44(コア)×3GHz=4224GFLOPS

 というあたりで、Knights Landingから微増というあたりでしかないが、おそらくこれはポイントリリーフで、次のKnights Runではもっと多数(~88コア程度?)のコアを集積したものになるとみられる。そうでないと1EFLOPSが実現できないからだ。

 仮にAuroraの規模を維持する(5万ノード)と仮定すると、1ノードあたり20TFLOPSほどが実現できないとまずい。1ノードにXeon Phiを2つ、Xeon SPを1つという構成だとすると、Xeon Phiが88コア/3GHz動作、Xeonが38コア/3GHz動作ならだいたいノードあたり20.5TFLOPSほどが出せる計算になる。

 時期的にはKnights Runや、これと対になるXeon SP(こちらはコード名がIce Ageだそうだ)は7nmプロセスを使ったものになるだろうが、あとはこの7nmがどこまで消費電力を抑えられるかということに尽きそうだ。

 ところで、なぜKnights CoreでいきなりXeonコアを使うかだが、Knights Landingのチーフアーキテクトを勤めたAvinash Sodani氏が2016年9月にCavium Inc.に転職しており、Xeon Phiのチーム自身も現在弱体化していると噂されている。

 すでに命令セットはAVX512でXeonとXeon Phiは共通化されており、Xeon-SPコアをHPC向けにローカルキャッシュを強化(このためにHBM2を利用)する程度でお茶を濁さざるを得ないということだろう。このあたりもなかなかインテルの苦しい事情が透けて見える。

 ちなみに今年のSC17では、そのCaviumは下記のプレゼンテーションを出しており、インテルとやる気満々である。もっともそのCaviumもMarvell Semiconductorに買収されるというニュースが今月に入って流れているので、この先どうなるのか不明ではある。

主要なアプリケーション性能をXeon Gold 6148と32コアのThunder X2で比較したもの。もっともARMv8といっても拡張命令そのものはNEONレベルなので、このThunder X2ベースのスパコンを提供するCrayにしても、計算処理そのものはNVIDIAのGPUを使っている。当面はこういう使い方が主流だろう

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