11月7日、ネットアップはハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品である「NetApp HCI」の国内提供を開始した。ストレージとコンピュートを個別に拡張でき、複数のワークロードを動かせる次世代のHCIを謳う。
混在したワークロードでもSLAを保証するNetApp HCI
NetApp HCIは2Uのシャーシに最大4つのコンピューティングノードとストレージノードを格納でき、最小構成として2つのシャーシ(4ストレージノード、2コンピューティングノード)からスタート。容量と計算資産のニーズにあわせてストレージノードとコンピューティングノードを個別に積み増し、無停止で拡張できるという。
NetApp HCIはストレージノードにSolidFireの「Element OS」、コンピューティングノードに「VMware ESXi」を採用し、これらをvCenterで統合管理するアーキテクチャとなっている。上位のサービスとして高可用性、レプリケーション、データ保護、データ削減などのほか、ネットアップの「データファブリック」の各種サービス、サードパーティのサービスとも容易に連携できるという。
NetApp HCIではSolidFireとVMwareを緊密に連携することで、仮想CPUと仮想メモリをコンピューティング環境にプロビジョニングしている。そのため、複数のワークロードが混在してもパフォーマンスを保証し、ワークロードが過負荷に陥っても、SLAを遵守するという。また、NetApp HCIのベースとなっているSolidFireのElement OSもバージョンアップによってNetApp SnapMirrorが利用でき、ONTAPベースのFASやAFFなどのストレージへのデータ移行が可能になった。
従来のHCIとは異なる4つの価値を提供する
NetApp HCIについて説明した米ネットアップ Next Generation Data Center Business Unitのシニアディレクターのマーティン・クーパー氏は、第一世代のHCIについて「VDIや仮想化など特定のワークロードにフォーカスしているため、複数のワークロードを展開するのが難しかった」と指摘。データセンター全体のシンプル化を目指したHCIであったが、複数のワークロードをホストし、性能面や拡張性の課題を解消しようとすると、HCIの台数を増やす結果に陥るという。「シンプルであったものが複雑になり、コスト効果も得られなくなっている」(クーパー氏)。これに対して、NetApp HCIでは複数のワークロードを混在することができ、ストレージとコンピュートも用途に合わせて柔軟に拡張することが可能になるとアピールした。
また、発表会に登壇したネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏は、OEM分を含めずに国内で15.9%という高い成長を実現している点をアピール。データマネジメントカンパニーを目指し、「ハードウェアを売るという手段ではなく、お客様のデジタルトランスフォーメーションをお手伝いする」という戦略が功を奏しているという。そして、市場が拡大するHCIに関しては、これまでシスコと提携することでコンバージドインフラにあたる「FlexPod」を展開してきたが、今回新たに次世代のNetApp HCIを提供し、HCI市場に参入する。
1992年の創業以来、エンタープライズ向けNASを中心に製品を展開しており、データの利用動向を把握している強みがあるという。岩上氏は、「次世代のHCIは今までと異なる価値を出していきたい」と述べ、NetApp HCIにおいては「パフォーマンスを保証」「柔軟性と拡張性」「インフラを自動化」「データファブリック対応」という4つの価値を提供できると説明した。