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業界人の《ことば》から 第270回

レノボ傘下で生じた富士通PC事業の疑問と2020年以降の課題

2017年11月07日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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富士通とNECPCのラインナップは両方維持

 すでにレノボ傘下では、NECパーソナルコンピュータが、日本市場に最適化した付加価値モデルを開発、製造、販売している。グローバルモデルとして普及価格帯の製品が中心となるレノボブランドのPCや、企業などに固定ユーザーを持つThinkPadとの棲み分けはこれまでできていたが、ここに富士通のFMVが加わると話が変わってくる。

 NECと富士通は、国内PC市場でトップシェアを争ってきたブランド。国内向け付加価値モデルを中心に、フルラインナップ戦略を推進する両社は、商品ラインナップに重なる部分が多く、真っ向から競合する製品が多い。

 一例をあげれば最近では、13.3型モバイルノートを巡る両社の最軽量競争が特筆される。

 富士通クライアントコンピューティングが発売した「LIFEBOOK UH75/B1」は、2017年1月の製品発表時点では777gとして世界最軽量をうたっていたが、NECパーソナルコンピュータが、第4世代の「LAVIE Hybrid ZERO」が769gになったと発表すると、富士通クライアントコンピューティングが、本格量産を開始した結果、平均値では761gと発表し、世界最軽量を奪取。さらに11月16日から出荷予定の最新モデル「UH75/B3」では、さらに軽量化して748gとしてみせた。

 補完関係がないどころか、むしろ激しい競合関係にある両社のラインナップを、今後、どう整合性を取っていくのかが気になるところだ。

 会見ではレノボ・グループ・リミテッド シニアバイスプレジデント兼アジアパシフィック地域プレジデントのケン・ウォン氏は、「どんな市場でも競争がある。だからこそ選択肢が必要である」としたほか、ヤン会長兼CEOも「日本のユーザーに選択肢を提供することになる。これによって、富士通の顧客にもレノボの顧客にも満足してもらえる」と、双方のラインナップを維持する姿勢をみせた。

 また富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰社長は「例えば、Mixed Realityの市場はこれから大きく広がり、2社で製品を出しても間に合わない。広がる市場はお互いに目指していくことになる」とする。

 富士通の田中社長も「コラボレーションのなかからコンペティションが生まれることもある」とし、2つのブランドの競合と協業が両立するとの考えを示す。

 競合しながら市場を成長させられるのであれば、2つのブランドが林立することは可能になるだろう。

 もうひとつの気になる点は、生産拠点の維持である。

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