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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第431回

Ryzen MobileはTDP 15Wの投入を最優先 AMD CPUロードマップ

2017年10月30日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Ryzen Mobileの詳細をAMDが公開
15Wの中で最大効率となるよう周波数を変動

 GPU統合Ryzenの性能を推察するために、Ryzen Mobileの内部構造を解説しよう。基本的には既存のZenコアのCCX(Core Complex)をひとつ、それとVega GPUをInfinity Fabricで統合した形である。

ビデオカードのVegaに搭載されているHBCC(High BVandwidth Cache Controller)はRyzen Mobileでは省かれた。またHBM2チップの搭載については、技術的には可能であるが、今のところその予定はないとのこと

 大きな部分では既存のRyzenおよびVegaと違いはないが、細かい部分での改良が若干ある。1つ目はPrecision Boost 2。Turbo状態から定格まで落とす際に、いきなり動作周波数を落とすのではなく、動作スレッド数にあわせてじわじわ落としていく仕組みだ。

Precision Boost 2。これでは周波数が直線的に落ちているように描かれているが、実際はなだらかなカーブを描くことになる

 下の画像はOCCTを使って実際に測定した例で、スレッド数が増えるほど緩やかに定格周波数に近づいていくのがわかる。これにより、より高い動作周波数を維持できるようにしようというものだ。

1スレッドと2スレッドでは、同じ1コア動作であっても負荷が変わるので、2スレッドでは若干動作周波数が落ちているのがわかる

 2つ目がMobile XFR(mXFR)で、従来のXFRよりもさらに動作周波数を引き上げる仕組みだ。もっともこのためには電源供給回路や放熱などで、AMDの定める条件を満たしている必要があるので、すべてのノートでこれが利用できるかどうかは不明である。

mXFRの利用で、CineBenchのスコアが23%向上したとしている

 機能としての違いはこの2つ程度だが、内部ではもう少し(主にGPU側に)手が入った。まず電圧管理。Zenコアは外部に定電圧レギュレーターを置き、そこからの電圧をLDOレギュレーターを使ってコアごとに変化させる方式を取っているが、同じ仕組みがVegaコアにも導入された。

CPUコアと異なり、Vegaコアの方はすべてのCUが同一の動作周波数・電圧となり、Compute Unitごとに異なる周波数や電圧で動いたりはしない

 ビデオカードのVegaコアにはこの機能が入っておらず、今回Vegaコアに新規に導入されている。この結果として、CPUコアとGPUコアの電圧レギュレーターをまとめて1つにでき、Bristol Ridgeはもちろんインテルの製品と比べても、より効率よく、しかも低価格に実装可能になったという。

15W CompetitorはおそらくインテルのKaby Lake Refreshの数字と思われる。こちらはTurbo Boost時に、短い時間ではあるが結構な量の電流が流れる

 個別にLDOを搭載するため、当然個別に動作周波数や電圧が買えられる、下の画像このシステムで、おおむね1ミリ秒ごとに最適な動作周波数/電圧の設定を行なっているという話であった。

それぞれのコア/GPUの利用率(赤色)→ターゲットの電圧/動作周波数の仮設定(水色)→他のコアの利用状況を見て設定値の調整(黄緑色)→最終的な電圧/動作周波数の設定(緑色)という流れになる。黄色はOSあるはBIOS Setupで定めるTDPや温度のリミット値の設定だ

 3DMarkのFireStrike実施時のCPU/GPUの変動を示したものが下の画像だ。トータルで15Wという消費電力の枠の中で最大の効率となるように変動しているのがわかる。

GPUは未使用時には本当に0に近いところまで動作周波数が落ちるのがわかる

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