仮想マシンに特化したストレージとして進化を続けるティントリ。新製品「EC6000シリーズ」やオールフラッシュアレイ製品の戦略、パブリッククラウド対応、HCIとの競合など、9月19日に開催されたプライベートイベント「Tintricity 2017」に合わせて来日したティントリCTOのキーラン・ハーティCTO、ティントリジャパン 職務執行者社長 河野 通明氏に話を聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー アスキー編集部 大谷イビサ)
欧米のユーザーはすでにオールフラッシュしか考えていない
大谷:昨日はティントリユーザーのイベント「Tintricity 2017」に私も登壇させていただきましたが、ユーザーの「ティントリ愛」が伝わるすばらしいイベントでした。まずはハーティさんの感想を聞かせてください。
ハーティ:素晴らしいイベントだった。お客様とも話せたし、お客様同士がいろいろ話せる場所を提供できた。
河野:昨日がTintricityの第3回だったのですが、2回目に比べほぼ倍の参加者数になりました。あのイベントでわれわれが一番ほしかったのは、お客様同士の情報交換の機会です。イベントをきっかけに今後ユーザー同士の情報交換がもっと進めばいいなと思います。
大谷:さて、おととい発表されたばかりのEC6000シリーズも含め、オールフラッシュアレイの製品計画について教えてください。もともとティントリはHDDとSSDのハイブリッドがメインだったと思うのですが、かなりオールフラッシュに舵を切っている印象があります。
ハーティ氏:オールフラッシュアレイに対するユーザーの声に耳を傾けた結果、なにより製品のプライスが重要だと考えた。だから、最新のオールフラッシュアレイは、ハイブリッドと同じ価格帯で出すことにした。
今でも弊社のハイブリッドアレイはいい製品という自負はあるが、同じ価格でより高いパフォーマンスが出せるのであれば、ユーザーはオールフラッシュアレイを積極的に導入していくはずなので、ティントリとしてもオールフラッシュアレイに舵を切っていきたい。
重要なのは、ハイブリッドも、オールフラッシュも同じOSが動いていることだ。昨日は両者の技術的な違いを意図して話さなかったが、既存のハイブリッドユーザーも同じようにオールフラッシュを利用できるし、移行も容易だ。これは魅力的な提案だと思う。
大谷:予想以上にオールフラッシュアレイのニーズが高いということでしょうか?
ハーティ:実際、VMworldで聞いたところ、米国やヨーロッパのお客様はすでにオールフラッシュアレイしか考えてない。昨日のイベントでもお客様の動向をヒアリングしたが、オールフラッシュアレイの導入意向が意外と低いのはとても意外だった。でも、今後コスト効果も高くなってくるので、日本のお客様も変わってくると思う。
河野:日本のお客様もオールフラッシュをいやがっているわけではないのですが、移行する理由を確立されていない印象があります。ハイブリッド製品でも、フラッシュへのヒット率が高ければ、性能面でのペナルティもないので、その意味で既存製品の満足度が高かったのだと思います。
大規模なシステムではHCIのメリットは失われてしまう
大谷:昨日のイベントで意外だったのは、他社のオールフラッシュアレイではなく、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を競合として意識していた点です。実際に、HCIと当たるような案件が増えているのでしょうか?
ハーティ:確かに以前は他のオールフラッシュアレイと比較されることが多かったが、最近はNutanixやvSANなどのHCIと競合することが増えている。オールフラッシュアレイの場合は、パフォーマンスで比較されていたが、HCIに関しては、簡単に使えるかで比較されることが多い。
われわれの見方では、HCIは小規模なシステムではうまく動くが、大規模なシステムでは高価で、複雑になってしまうという課題がある。安くて、簡単というHCI本来のメリットが失われてしまうのだ。実際、現在のHCIが単一エリアで対応できるのは最大で64サーバーだが、ティントリは最大で1000サーバーまでサポートしている。そのため、大規模なシステムであれば、ティントリの方が優れている。
河野:昨日のイベントも、お客様の関心を元にプログラムを作ってきた結果、プログラムの多くにHCIに関しての内容が組み込まれました。やはり日本ではHCIの興味は高いと思います。でも、Tintricityに参加したお客様の声を聞く限り、今キーランが話したのと同じHCIの限界を感じているようです。一方で、小規模なシステムでHCIが最適な領域があるのも理解できました。