データセンターでパブリッククラウドと同じメリットを提供する
大谷:EC6000シリーズに関する大きなトピックとして、パブリッククラウドへの対応があると思うのですが、これはかなり以前から計画されていたのでしょうか?
ハーティ:パブリッククラウドへの対応は2016年頃から計画を始めた。昨年、大手のお客様と話したところ、ほとんどのお客様はパブリッククラウドを意識しており、AWSに大きなシステムをデプロイし始めていた。であれば、われわれの製品もパブリッククラウドに対応すべきだと考え、今回のAmazon S3へのレプリケーション機能をリリースした。
今回のレプリケーションはファーストステップで、今後さまざまな形でパブリッククラウドにつなげていく。プロトタイプでは、AWSにデータを置いたまま、2つのサイトでデータをレプリケーションしたり、オンプレミスのプロダクションとAWSの開発環境でデータを同期するといったことを試している。プランニングツールの「Tintri Analytics」もAWS上に構築されている。
大谷:今後、ストレージベンダーはパブリッククラウドとどうつきあっていくべきでしょうか?ともすれば、パブリッククラウドにすべてのワークロードが移行してしまう危険性もはらんでいると思いますが。
ハーティ:注意しなければならないのは、パブリッククラウドは概してコストが高くなるという点だ。CEOやCIOも別にパブリッククラウドを使いたいわけではなく、同じことをスピーディに行なえるのであれば、データセンターでも問題ない。パブリッククラウドと同じことをデータセンターで実現できるわれわれの「エンタープライズクラウド」の提案は利用価値も高いはずだ。
河野:昨日のイベントでもパブリッククラウドを利用しているお客様は少なくなかったのですが、やはりポリシーを持って使い分けているお客様は多かったと思います。こうしたお客様にとってみたら、やはりエンタープライズクラウドの提案はまさに的を得たものだと思います。
大谷:EC6000の発表では、まずAWSとIBMのクラウドに対応していますが、この背景を教えてください。他のパブリッククラウドへの対応もお聞かせください。
ハーティ:85%のお客様はAWSを使っているので、そのニーズに応じたものだ。IBMに関しては、オブジェクトストアの認知度が高いので、今回対応することにした。Tintri Connectは技術的にはどのクラウドにもつなげられるが、今のところ次の予定はまだない。
HCIは簡単だが、ティントリはもっと簡単
大谷:最新のTintri OSはAPIを用意しており、外部のサービスと連携できるようになっています。実際、昨日はチャットボットでTintri VMstoreの設定をするビデオが流れていて、未来を感じました。こうしたAPI提供の狙いを教えてください。
ハーティ:今までは「APIは使えた方がよい」という意見だったが、現在では「APIは必ず使えなければならない」という常識になってきている。たとえば、Skypeにつなぐといったことも技術的にはそれほど苦なく利用できる。今後は活用がどんどん進んでいくと思う。
大谷:使いやすさはティントリの大きな売りですが、最近は自動化という点も積極的に推し進めていますね。
ハーティ:自動化は管理者の管理の負荷を下げるほか、ソフトウェアでのタスクを低減するために有効だと考えている。システムの状態をつねに見ながら、マネジメントをやりやすくするのが目的だ。GUIは現在、Flashベースだが、来年に向けてHTML5ベースで書き換えているので、期待してほしい。
大谷:あと、T6000と異なる「T1000」という新製品が出てくるという情報がイベントで出てきましたが、その話もぜひ教えてください。
ハーティ:T1000は10TB、100VMまでカバーするオールフラッシュアレイだ。シリーズではなく、単体製品になる。グローバルで共通の要望であったブランチオフィス(ROBO:Remote Office &Branch Office)や小規模VDIでの利用を想定した製品だ。
たとえば、病院の場合、患者のセンシティブなデータが多いため、データセンターにシステムを置けないというお客様もいる。しかし、患者が多くなると、データの出し入れが多くなるため、I/0が必要になる。ここでT1000のオールフラッシュの性能が活きてくる。
大谷:データセンターにデータを置けないという話は、イベントで立ち話をした大学の情シスの方も同じような話をしていました。先ほど話していたHCIの領域でも、競争力のある製品ですね。
ハーティ:確かに小規模な案件ではHCIと当たるので、営業の現場ではパワフルな商材となるだろう。HCIも簡単だが、ティントリはもっと簡単だ。