Acrobat DCのメリットを体感する最新PDF活用セミナーレポート
PDFを使うならなぜAcrobat DCなのか? 最新PDFセミナーでわかった
2017年09月07日 10時00分更新
9月6日、アドビシステムズはAcrobat DCを活用した業務効率化やセキュリティ対策について説明する最新PDF活用セミナーを開催した。セミナーではAcrobatの信頼性やセキュリティ機能について説明されたほか、具体的なシナリオに従った活用デモも披露された。
ISOの規格に完全準拠するのはAcrobatだけ
冒頭、Acrobat DCの信頼性について解説したアドビシステムズの永田敦子氏は、クラウド化やペーパーレス、マルチデバイス、働き方改革などのトレンドによってPDFのニーズは増加の一途をたどっていると説明。「誰がどういった環境で情報を閲覧するかわからない状態になっている。デバイスや環境に依存しないことが重要になっており。PDFの役割はさらに重要になってきている」(永田氏)とアピールした。
こうした中、PDFとAcrobatはビジネスのインフラとしてすっかり根付いた感がある。実際、Adobe Readerのインストールされているモバイルデバイスの数は40万、過去1年間でアドビ製品で開かれたPDFは約5億にのぼる。さらに電子サイン製品であるAdobe Signで行なわれた契約書の総数は1億に達するという。
もともとPDFは「OS、デバイス、言語を問わない、時間の経過に左右されない」というコンセプトの元、アドビによって開発された技術だ。「情報コンテナ」としてテキストや画像、フォーム、注釈、メタデータ、電子署名などさまざまな情報をセキュアに格納し、環境に依存することなく元の文書を意図通り共有・閲覧することができる。そして、こうしたPDFの理念や機能は、アドビの技術をベースにした「ISO32000-1」の国際標準規格にも引き継がれているという。
ISOで規定されているPDFの規格は多岐にわたっており、PDFツールも「ISO準拠」を謳うならISOの規格をすべて守る必要がある。しかし、PDFツールを提供する各社の対応はバラバラで、ツールによって「方言」が存在するのが実態。そのため、「文字が読めない」「検索できない」「開けない」「表示できない」といった事態に陥り、きちんと情報にアクセスできず、意図が伝わらないことも多い。
これに対してアドビはISO32000-1準拠のPDF、作成ツール、閲覧ツールの3つが揃えており、ファイルの閲覧環境を担保している。永田氏も、「ISO32000-1に完全準拠しているのは、Acrobatだけと言い切ってよい」とアピールする。逆に言えば、他社のアプリで作成したPDFのファイル閲覧はAcrobat Readerでも保証できないという。こうしたPDFの互換性に関する問題は、ユーザー側も意識する必要があるだろう。
PDFの安全な共有をサポートするAcrobatの機能と取り組み
続いてPDF・Acrobatのセキュリティについて説明したのは、アドビシステムズ DocumentCloud マーケティングの江口美菜子氏。江口氏は、サイバー攻撃の深刻化や標的型攻撃の増加について説明し、「最新のサイバー攻撃は、実在の組織や行政機関を詐称し、攻撃先の企業に関する具体的なメール内容を送ってくるので、専門家でも判断しにくくなっています」と警鐘を鳴らす。その上で、PDFを安全に共有するためには、発信と受信という2つのポイントで考慮すべきだという。
まずPDFを発信するときの対策としては、Acrobatの文書保護の機能を活用する。そもそもPDFは「編集ができない最終フォーマット」という誤解があるが、実際は編集も可能。また、ファイルには作成者やメールアドレスなど、いわゆる「メタデータ」が含まれるため、悪意のあるユーザーに悪用される可能性もある。特に注意したいのは、プロパティに含まれる作成したPDFツールのバージョン表記。「ハッカーはこの情報を見に来ます。10年前のソフトウェアを使っていた場合、10年もアップデートされていないことがハッカーに見抜かれ、攻撃に利用されます」(江口氏)という。
これに対してAcrobat DCの「保護」機能を使うと、パスワードによる編集制限はもちろん、印刷やコピー&ペーストの制限も可能になる。また、PDFのメタデータに関しては、「非表示情報を検索して削除」のメニューを使えば、まとめて削除できるという。さらに、Acrobat DC Proの「アクションウィザード」を使うことで、パスワードによる編集制限、メタデータの削除、透かしの挿入など複数の操作をカスタマイズすることが可能になるという。一度作成したポリシーは配布することもできるので、複数の作業を社内で統一して行なう場合に役立つ。
続いては受信に関してのトピック。まずAcrobatではサンドボックス技術を搭載しており、不正なプログラムがシステムの重要な領域にアクセスできないよう、隔離した状態で安全にファイルを開くことができる。サンドボックスは有料のAcrobat DCのみならず、無償のAcrobat Readerでも提供されているという。
また、脆弱性を突くランサムウェアの感染に関しても、製品を最新バージョンにアップデートすることで予防できる。そのため、必ず最新版を使ってほしいとのこと。なお、Acrobat X以前の製品はすでにサポートを終了しており、Acrobat XIに関しても2017年10月15日にサポートが終了する。最新版のAcrobat DCのサブスクリプション版であれば、つねに最新のセキュリティパッチが提供され、サポート切れやアップグレードの心配もないという。
その後、セミナーでは「紙の資料をスキャンし、OCRをかけて検索可能にする」「OfficeとPDFを相互にコンバートする」「複数のファイルを1つのPDFファイルにまとめる」「共有レビューで効率的なレビューを行なう」などのデモが具体的な業務シナリオに従って披露された。Acrobat DCの豊富な機能を知り、業務での利用イメージが得られた有意義な2時間だった。