すでに70年以上が経過したとはいえ、広島・長崎への原子爆弾が投下された8月6日と8月9日、そして太平洋戦争の終戦を迎えた8月15日と、8月は日本人にとって特別な日が続いた。その戦時中、物資が乏しい中で家族を支え、懸命に生きたすずの姿を描いた劇場版アニメ「この世界の片隅に」。今回、本作の舞台となった広島を訪れるにあたり、作品の中に登場する場所に行ってみることにした。
この旅のお供として持っていったのが、エプソンのAR型スマートグラス「MOVERIO BT-300」だ。「MOVERIO BT-300」は、エプソン独自開発のシリコンOLEDディスプレイを新採用したおかげで、映像がさらに美しく表示されるようになっている。さらに、メガネ型デザインである点も活かし、アニメのロケ地ならではの臨場感に浸りながら、目の前にアニメ映像を表示させ堪能しようというワケだ。そのデザインの特性上歩きスマホ状態を避けられるので、周囲の方に迷惑をかける心配が少ない点も重要だろう。スマートフォンのテザリング機能やモバイルルーターと組み合わせることでネット接続が可能となるため、旅行中大きな荷物にならずに済むのがうれしいところ。
「MOVERIO BT-300」を使って航空機内で映画を鑑賞!
「この世界の片隅に」(原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊))は、片渕須直監督が6年の歳月をかけて作り上げたアニメーション映画で、当初63館という公開規模にも関わらず、200万人以上を動員したヒット作。第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞したほか、第41回アヌシー国際アニメーション映画祭など海外の映画祭にも出品。海外でもシンガポール、マレーシア、メキシコ、イタリア、台湾、アメリカで公開され、この後、フランスでの公開も決定している。
本作に登場する舞台は、広島県の広島と呉。映画自体は映画館で観ているものの、すでに半年以上前であり、広島に着く前にもう一度観て、これから訪れるロケ地を確認しおきたい。エプソンのスマートグラス「MOVERIO BT-300」と、アイ・オー・データ機器のポータブルDVDドライブ「DVDミレル」を組み合わせてDVDを鑑賞することも考えたが、荷物をひとつでも少なくするために今回「DVDミレル」は持ってきていない(そもそも、「この世界の片隅に」のBlu-ray・DVDは9月15日発売のため、記事執筆時点ではまだ発売されていない)。そこで今回は、動画配信サイトで「この世界の片隅に」を観ることにした。
詳細は各航空会社の電子機器に関するアナウンス・注意事項を参照してほしいが、航空会社や航空機のタイプによっては有償でWi-Fi接続サービスを提供するようになっている。「MOVERIO BT-300」を使ってインターネットに接続すれば、動画配信サイトも活用できるというわけだ。さっそく「この世界の片隅に」を配信している「Amazonプライム・ビデオ」アプリを使って映画を鑑賞してみた(「Amazonプライム・ビデオ」アプリは、「Amazonアプリ完全版」導入後にインストールする必要がある。詳細は「「MOVERIO BT-300」でAmazonをしゃぶりつくす!」を参照)。
また「Amazonビデオ」の場合、映像作品によっては(「MOVERIO BT-300」に挿した)microSDカードにダウンロードしておき、航空機内でゆっくり視聴するということも行なえる。
「この世界の片隅に」は2時間強の映画。広島までの移動では時間が足りず、最後まで観ることがかなわなかった。残りは広島で観ることにした。
「この世界の片隅に」のロケ地を巡る
まずは広島市内のロケ地に向う。アニメの中に登場する場所については、映画パンフレットに掲載されているロケ地マップと、スマホアプリの「舞台めぐり」を参考にした。まずは江波。ここはすずの実家があった地域で、広島市街地の南のほうになる。
このように、当時と変わってしまった場所、当時のまま残っている場所と、見比べながらのロケ地巡りは様々な発見があっておもしろい。次に向ったのは、中島地区。原爆による被害がもっとも大きかった地域で、まさに街ごと消滅してしまった場所だ。
レストハウスで手に入れたロケ地マップを見てみると、現在公園となっている中に、たくさんの家が建っていたことがわかる。レストハウスの建物は元大正屋呉服店。中島本町では唯一現存する建物だ。
今回、「MOVERIO BT-300」のネット接続については、スマートフォンのテザリング機能を利用しており、かなり快適に観ることができた。また、周囲が明るいと表示映像が観にくい場合があるため、外光の透過を抑える「シェード」(製品付属)を利用するといいだろう。原爆ドームを臨みながらの「この世界の片隅に」後半は、映画館で観るのとはまた違う感慨を味わうことができた。