NTTコムウェアは7月31日、「働き方改革/健康経営」実現に向けた同社における取り組みの実態と、それを支援するソリューション群を紹介する記者説明会を開催した。
今年は従来からの取り組みを強化、全社/全社員での改革に広げる
説明会ではまず同社 総務人事部の高瀬一男氏が、NTTコムウェアにおける働き方改革と健康経営実現に向けた取り組みを紹介した。
同社では「健全で創造的、効率的な事業運営」を目標として、「業務改革/意識改革/環境・仕組み改革」の3つを柱とした多様な取り組みを展開してきた。たとえば、在宅勤務やフレックスタイム制勤務を可能にする業務制度や、柔軟な働き方を支援するITツールの活用などは、かなり古くから取り組んでいる。
しかし、今年度になってこうした取り組みを見直し、あらためて全社的な動きに拡大していくよう強化を図ったという。その理由について高瀬氏は、同社でも社員の年齢分布で50歳前後がピークとなっており、事業成長のためにはさらに生産性を向上する必要があること、一部では深夜に及ぶ長時間労働が解消されていなかったこと、などを挙げる。
今年3月には全社横断的な「働き方改革推進委員会」を立ち上げ、今年4月には経営トップからのメッセージ発信を通じて意識改革を訴えたほか、5月には長時間労働/深夜労働を規制する全社的ルールも定めた。このルールでは「定時退社を原則とし、時間外労働は20時まで、22時以降の深夜勤務は原則禁止」(高瀬氏)としている。
柔軟な働き方を可能にする勤務制度も、これまでは主に育児、介護に携わる社員に限定したものだったが、全社員への適用拡大を図っている。たとえば在宅勤務については、管理者も含む全社員が月8日または週2回まで実施可能であり、自宅だけでなく帰郷地などでの在宅勤務も可能だ。フレックスタイム制勤務についても、全社員でのトライアルを実施している。
また、こうした取り組みでは社内だけでなく、顧客やビジネスパートナーも巻き込む必要もあったという。実際、長時間労働がなかなか改善できない部門を調べると、顧客からの要望でどうしても対応せざるを得ない業務が発生している実態もあった。そこで、働き方改革への企業メッセージとして対外的に公表したほか、取引先と歩調を合わせて改善していくという発想が必要だと、高瀬氏は説明する。
「当社だけ(取り組みを)やるのでそちらはお願いします、ではなく、お互いに取り組んで共に改善していこうということ。たとえば、本来は翌日でもいい業務は(時間外労働でこなすのではなく)翌日に回しませんかといった、そういう呼びかけで少しずつ改善している」(高瀬氏)
加えて、夏季の3カ月間(7~9月)を試行期間としてより先進的な取り組みを実施する「夏の生活スタイル変革」についても、今年はさらに「一歩踏み込んだ取り組み」(高瀬氏)としている。毎年取り組んできた内容に加えて、たとえば育児/介護に携わる社員に対して在宅勤務実施日数を拡大したり、各職場で「早帰りデー」を設定したりしている。
なお、在宅勤務の実施においてはしばしば勤務評価が課題となる。これについて高瀬氏は、NTTコムウェアでは実施前に管理職と社員との間で業務内容を明確にしており、またITツールによる双方でのタスク管理や業務報告書の提出などによって、その課題を解消していると説明した。
中間管理職の業務強化につながらないよう、ITによる「自動化」も必要
さて、こうした働き方改革にまつわる課題を解決し、改革を支援していくのがITソリューションの役割ということになる。同社ビジネスインキュベーション部 統括課長の島田智子氏が、NTTコムウェアが提供するソリューション群を紹介した。
NTTコムウェアのITソリューションが支援できるものについて、島田氏は「場所によらない働き方」「時間によらない働き方」「モバイルでの働き方」と、こうした「多様な働き方の管理」だとまとめた。具体的には、個々の社員のタスクや労働時間を可視化する「follow」や、出先での出退勤打刻が可能な「follow Smart Touch」、SNS/チャットによる遠隔コラボレーションを可能にする「シャナイン TALK/BOARD」、シンクライアント/デスクトップ仮想化の「SmartCloud デスクトップ」、BYOD端末でも内線電話の着信や会社番号での発信ができる「SmartCloud Phone」などがある。
このうち「多様な働き方の管理」について島田氏は、何も対策を取らないまま多様な働き方を許してしまうと、中間管理職の業務増加につながってしまうことを指摘。ITツールの導入によって「定量的な管理」についてはすべて自動化していくと同時に、そこでできた時間はより密なコミュニケーションに生かしていくべきだとポイントを語った。
また島田氏は、NTTコムウェアが提供する働き方改革ソリューション群の将来像について、サービス間の連係を行いモバイルワークをより生産的にしていくこと、勤務実態やスケジュール、メッセージ数といったデータを活用して業務負荷管理や健康管理に役立てることの2点を挙げた。最終的な目標としては、働き手と企業が相互に成長することだと、島田氏は述べた。