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パフォーマンス/集約密度の向上、運用管理の自動化、セキュリティ強化など

デルとEMC、新Xeon-SP搭載の第14世代「PowerEdge」サーバー発売

2017年07月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルとEMCジャパンは7月13日、新世代のXeonスケーラブルプロセッサー(Xeon-SP)を搭載する第14世代の「Dell EMC PowerEdge」サーバーファミリーを発表、主要モデルの提供を開始した。新Xeonによるパフォーマンス向上や集約密度の向上、広範なワークロードへの対応だけでなく、運用管理の自動化やハードウェアベースのセキュリティ強化など、Dell EMCの独自技術による機能改善も図られている。

第14世代モデルの1つ、2U/2ソケットで大容量ストレージ内蔵の「Dell EMC PowerEdge R740xd」

デル 執行役員副社長 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括の松本光吉氏

米Dell EMC SVP サーバソリューション プロダクトマネジメント兼マーケティング担当のラヴィ・ペンディカンティ(Ravi Pendekanti)氏

デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 製品本部 本部長の上原宏氏

幅広いワークロードに対応するポートフォリオを展開

 今回発表されたのは、1U/2ソケットの「PowerEdge R640」、2U/2ソケットの「同 R740」、2U/2ソケットで大容量ストレージを内蔵する「同 R740xd」、3U/4ソケットの「同 R940」、2Uシャーシに2ソケット×4ノードを内蔵する高密度サーバーの「同 C6420」、ハーフハイトサイズの2ソケットサーバーブレード/モジュールである「同 M640」および「同 FC640」だ。いずれも同日より販売、出荷を開始している(M640、FC640は今年下半期の出荷予定)。

発表された第14世代PowerEdgeサーバーの各モデルのスペック特徴と、それぞれに適したワークロード例の一覧

 主力モデルのスペックを見ると、たとえば2UのR740では、前世代(第13世代)のR730と比較して2倍のDDR4メモリ容量(最大3TB)に対応し、搭載できるGPUも50%多くなった。

2U/2ソケットの主力モデル、PowerEdge R740の特徴

 また最大6TBのメモリを搭載し、インメモリDBやアナリティクスなどの用途に適したR940では、前世代R930では4Uだった筐体が3Uにコンパクト化。その一方で、搭載できるNVMeドライブ(Express Flash NVMe PCIe SSD)は50%増の最大12ドライブとなった。加えて、新しいXeon-SPの採用によりコア数は27%増、メモリ帯域幅は50%増、プロセッサ間帯域幅も50%増となっている。

3U/4ソケットのPowerEdge R940の特徴

 なお、今回発表されたいずれのモデルでも、25GbE(25ギガビットEthernet)、NVDIMM(不揮発性メインメモリ)といった新しいテクノロジーにネイティブ対応している。

 また、今年5月の「Dell EMC World」でアナウンスされていた「VMware vSAN」「Dell EMC ScaleIO」「Dell EMC Elastic Cloud Storage(ECS)」などのSDS(Software-Defined Storage)製品群をはじめ、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品の「VxRail」や「HCシリーズ(Nutanix)」、プライベートクラウド製品などについても、今回の第14世代PowerEdgeのリリースによって、順次、大幅にパフォーマンスが強化されていく見込み。

PowerEdgeサーバーはSDSやHCI製品などの根幹も支えており、これらの製品も強化される

インテリジェントな運用自動化、ハードウェア統合されたセキュリティも

 米Dell EMCでPowerEdgeサーバーの開発と戦略を担当するラヴィ・ペンディカンティ氏は、第14世代PowerEdgeのポイントは「スケーラブルなビジネスアーキテクチャ(幅広いワークロードへの対応)」、「(運用管理の)インテリジェントなオートメーション」、そして「(ハードウェアに)統合されたセキュリティ」の3点だと説明した。

ペンディカンティ氏が挙げた、第14世代PowerEdgeの強化ポイント3つ

 1つめのポイントは幅広いワークロードへの対応だ。現在のx86サーバーには、従来型ITのデータベース、仮想化といったワークロードだけでなく、最近ではSDSや機械学習/ディープラーニングなど、より幅広いワークロードへの対応が求められている。

 こうした要求に対し、第14世代PowerEdgeではその幅広いポートフォリオの中で、それぞれに最適化を図っている。たとえばR640ではvSANクラスタとして前世代比12倍のIOPSを実現、R940ではコア数増加によってOracleのライセンスコストを大幅削減可能、といった特徴がある。25GbE対応により、仮想マシンのマイグレーションも高速にできる。

 また、複数のPCIeカードやメモリモジュールなど、搭載するパーツごとに異なる発熱量に応じて、内蔵する複数のファンのスピード(風量)を個別に自動調整することで、高密度実装でも支障の出ない温度を維持しつつ消費電力を抑えられる「マルチベクタークーリング」機能も新たに搭載した。Dell EMCが提供するパーツのデータ(発熱量など)はあらかじめ登録されているほか、サードパーティ製パーツの場合はユーザーが独自に設定できる。

 運用管理の自動化に関しては、ハードウェア管理エンジンが新バージョンの「iDRAC 9」となり、ユーザーインタフェースの改善やパフォーマンス向上などが実現した。また「インテリジェントな」自動化を実現するための新たな管理ツール「OpenManage Enterprise」もリリースされており、サーバーの展開や更新、監視、メンテナンスといった作業をサポートする。なおiDRAC 9では、業界標準のRedfish APIへの対応も拡張されており、他社製管理ツールによるサーバー環境全体の統合管理もより容易になっている。

 加えて、第14世代PowerEdgeでは、障害発生検知とDell EMCへの自動通知を行う「SupportAssist」機能を搭載している。ここに専任テクニカルアカウントマネージャーが障害解決を支援する「ProSupport Plus」サービスを組み合わせることで、トラブルシューティングまでにかかる時間を最大90%削減できる、としている。

 ハードウェアへの統合セキュリティについては、インテルのBoot Guard技術で起動時のBIOSイメージ検証を行う「Secure Boot」機能、不正なシステム構成を防ぐ「System Lockdown」機能、ドライブの盗難時や不適切な再利用時などに全データを数秒で完全消去する「System Erase」機能などが追加されている。

強化ポイントの具体的な内容

日本IBM、リコージャパンも新たに自衛保守パートナーに

 デル日本法人でデータセンター製品を統括する上原宏氏は、今回の第14世代PowerEdgeファミリーは「自信作」だと繰り返し語ったうえで、日本市場において顧客が同製品を容易に導入できるよう、新たな施策を展開していることを紹介した。

上原氏が挙げた、日本市場における5つの展開施策

 まず、デルとEMCジャパン社内において販売体制を強化する。具体的には、顧客からの依頼による見積もりおよび構成支援を専門で手がける組織を立ち上げた。また、独自に顧客サポートサービスを行う自営保守パートナーとして、従来からの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とユニアデックスに加え、新たに日本IBMとリコージャパンとの契約を締結している。

 そのほか、東京ソリューションセンターにおいて第14世代PowerEdgeの技術検証を可能にしたこと、前述したProSupport Plusを提供すること、また“クラウドライクな”月額払いなど、多様な支払いプランを提供していることなどを紹介した。

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