組織統合完了後の新年度戦略、国内法人IT市場でシェア倍増を目指す5つの施策を披露
デルとEMCの両社長「“ワン・カンパニー”で市場シェア倍増を」
2017年02月02日 07時00分更新
デル日本法人とEMCジャパンは2月1日、同日からスタートした新年度の事業戦略説明会を開催した。デル社長の平手氏、EMCジャパン社長の大塚氏が出席し、組織や製品/サービスポートフォリオの統合を経て、両社一体の“ワン・カンパニー”として国内市場でのシェア拡大を目指す戦略を説明した。
組織や製品ポートフォリオの統合を完了、2社がワン・カンパニーとして動く
説明会ではまず、デルの平手氏が、昨年9月の統合により誕生したデルテクノロジーズグループの全体像と、デル日本法人およびEMCジャパンにおける組織統合やビジネス変化などについて説明した。
DellやDell EMC、Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、そしてVMwareを傘下に置くデルテクノロジーズは、グローバルの全従業員数が約14万人、連結売上が約740億ドル(8兆円超)規模の企業ファミリーとなった。
デルテクノロジーズとして注力する分野は大きく3つ、「デジタルトランスフォーメーション」「ワークフォーストランスフォーメーション」「セキュリティ」である。この3分野における顧客の取り組みを、エンドトゥエンドのソリューションポートフォリオで支援していく構えだ。
米国ではエンタープライズ向けITベンダーとしてDell EMCが誕生し、昨年後半からはDell EMCブランドの製品も出荷が始まっているが、日本法人の両社は統合していない。これについて平手氏は、米国以外の各国法人については、各国のマーケットや顧客の状況を見ながら統合を進めていく方針となっており、日本法人に関しても「もう少し時間をかけて統合を進めていく」と述べる。
ただし、両日本法人の組織や社内ITシステム、社内制度(人事評価制度など)、そして製品ポートフォリオやパートナー制度などは、昨年9月から5カ月をかけて整理と統合を進めてきた。平手氏は、この統合作業が完了し、デルテクノロジーズの新年度が始まる2月を迎えたことを契機に、デルとEMCジャパンが「ワン・カンパニー」としてビジネスを展開していくと語る。
両社それぞれが、顧客層、および製品ラインアップに重複のない担当領域を持つ一方で、顧客やパートナーに対する窓口(営業、プリセールス)は一本化して、デル/EMCジャパンで「ワン・カンパニーとして動き、ワン・ボイスをお届けする」と平手氏は説明した。
国内法人IT市場における「シェア倍増計画」、5つの施策を通じて進める
続いてEMCジャパンの大塚氏が、国内IT市場における具体的なビジネス戦略を紹介した。大塚氏が掲げたのは「国内IT市場 シェア倍増計画 ~2×2戦略」というもので、日本市場におけるシェア拡大を目指す内容となっている。
日本の企業向けIT市場の規模は世界で2番目に大きく、デルテクノロジーズとしても日本市場を重要視している。しかし、日本市場におけるデル/EMCのシェアは、欧米やアジアなど他の市場におけるシェアと比べて全般に低い。これを「デル/EMCが海外市場で持っているシェア並みに引き上げる」(大塚氏)ことがひとつの目標だという。
「たとえば海外市場でのサーバーシェアはおよそ20%だが、日本市場では10%前後。ストレージも同様に海外市場では35%ほどだが、日本では15%程度。したがって、まだ大きな伸びしろがあると考えている」(平手氏)
大塚氏が紹介した「シェア倍増計画」は、具体的には5つの施策により構成されている。ひとつは前述の「ワン・カンパニー化」で、ほかにもコンサルティング提案の強化、全国カバレッジ強化、IoTや組み込み機器などの分野での協業を通じたコ・イノベーション、通信/クラウド事業者とのパートナーシップを挙げている。
コンサルティング活動を通じたソリューション提案の強化は、デルテクノロジーズがグローバルで進めている施策である。日本のデル/EMCにおいても、コンサルティング部門の人員強化を図っていく方針だ。
「(日本のデル/EMCでは)コンサルティング部門をソリューション軸で大きく2つに分けている。ひとつはハイブリッドクラウドやデータセンターアジリティなどをテーマとするITインフラ周りの部門、もうひとつは新しいアプリケーション開発や、ビッグデータやデータサイエンスなどを推進していく部門。それぞれに注力していく産業分野もあるので、部門の中で産業別アプローチも検討していきたい」(大塚氏)