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第8回 「VAIO、法人向く。」の現在を探る

法人向けに力を入れてきたVAIOの取り組み

企業導入の決め手! VAIOならではの導入支援サービスとは?

文●飯島範久 編集●ASCII

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メーカーならではのメリットがあるキッティング

 見学終了後、西澤さんと奥原さんにVAIOが取り組むキッティングについて伺った。

―― かなりキッティングに力を入れてますね。

西澤さん 導入や買い替え時に、全く何もしていないOSに1つ1つ会社で使うアプリケーションを入れていくとなると、非常に手間じゃないですか。それを1つの状態、マスターPCといいますが、それを展開して同じ状態の製品を作り出す。さらに、同じ状態のものを作った上で、1つ1つ異なる設定を加えていく。これを個別設定と呼びますが、これらを行なうことで、導入したあとIT管理者が1つ1つ作業することなく、従業員へすぐに配布できます。これが一番喜ばれることなので、企業で導入する際の必須要件となっています。

 また、メーカーに任せてもらうメリットもありまして、メーカー出荷のOSをベースとしてカスタマイズできるんです。マイクロソフトと提携しており、通常の製品に企業さまが使うアプリを入れた状態のOSイメージを作ることができます。これはメーカーだけに許された権利で、これを使ってお客さま専用の状態を作ることができ、それをリカバリーエリアに仕込めるので、万が一のとき初期化してもアプリや設定が施された導入時の状態に戻るわけです。

―― それはうれしいですね。

奥原さん リカバリーメディアをアップデートした形でご提供するというメニューもあります。

西澤さん メーカーならではという点として、たとえばレーザー刻印ができることもそうですが、万が一作業がうまく行かなかった場合でも、我々は部品を持っているので、交換・修理がすぐにできます。製造のインフラを、導入する企業に特化したカスタマイズに使えるのが弊社の強みだと思っています。

↑レーザー刻印を施した例。絵柄も刻印でき、サイズも加工可能範囲で要望に応えるという。

―― 実際のニーズとしてどんなことがありましたか?

奥原さん シンクライアントの案件はありましたね。最近は増えてきています。

西澤さん セキュリティリスクを考えたとき、シンクライアントは基本的に仮想環境上で作業するので、クライアントマシン上ではあまりセキュリティリスクがありません。大手企業さんでの採用が多いですね。シンクライアントの場合はOSを変えます。VAIOではWindows 10 ProとWindows 10 Homeを提供していますが、それとは別の専用OSであるWindows 10 IoT Enterpriseというのがありまして、それを導入したい企業に提供しています。

―― それはカタログには記載されていませんよね。

西澤さん そうですね。ほかにもセキュリティロック用の穴は13インチモデルには付いていませんが、製造設備も生産ラインと同じものを使って、あとから加工することもできます。お客さまの要望に合わせて、できることは応えていきたいと思っています。

―― キッティングまでお願いするVAIOならではのメリットとは?

西澤さん キッティングは、メーカーにお願いする場合だったり、自分の社内に大きなIT管理部門があれば、そこで実施してしまう場合もありますし、導入支援をしてくれるインテグレーターさんにお願いするケースもあります。会社で使うためには何かしら専用のアプリケーションが必要で、どこかで必ず作業が発生します。我々に頼んでいただければ、1つの注文で、すべて施した製品をお届けできます。それがメーカーでやるメリットだと思います。

奥原さん PCが故障したときも、修理部門が同じ建屋にありますので、キッティングを弊社が行なっていれば、修理して上がってきたものは、出荷前に再キッティングを実施しています。そうなると、修理しても出荷状態に戻せるわけで、これは大変好評ですね。

西澤さん お客さま専用のイメージは、通常のセキュリティとは別のサーバーで管理しています。過去に遡って出してこられますし、OSやアプリケーションがアップデートされた場合でも、最新版にするサービスも行なっています。

―― スマートフォンのキッティングも同様なんですか?

西澤さん 若干異なりまして、いくつかのパターンが有るのですが、アプリケーションを流し込んで、OS全体を差し替えるというのではなく、差分を送り込む感じですね。企業がMDMで管理している場合は、検証機を貸し出して、お客さま側で検証していただいた上で導入していただくようにしています。当然、我々もパートナーと検証しているものはサイト上で公開していますが、お客様の環境でなければわからないこともあるので、確認していただくことが前提です。そのうえで、キッティング作業を行なっています。

―― 梱包やマニュアルが不要というお客さまもいると思いますが。

西澤さん 梱包が不要なお客さまはいらっしゃいますね。そういった場合は、5台で1つの箱で納めて、通常の出荷状態の箱ではないものにしています。また、保証書やマニュアル類、アクセサリー類も社員に配布するとなくしてしまうため、そういったものを抜いて納品することもあります。その場合は、別梱包で渡す形になります。

―― 買い替えのときには使用していた製品を処理したいこともあります。

西澤さん 使用済みの製品はPCリサイクル法があるので、捨てるのにもお金がかかります。ですので、パートナー企業と連携してお金のかからない買い取りをご提案しています。企業さんからお預かりしたPCには大事なデータが入っているケースもあるので、きれいに消してから、リユースされます。

 法人向けへPCがシフトしていくところから、まずはキッティングが必要だということで始めました。そのあとは、ゆりかごから墓場まで、全部を揃えていきましょうと、いま取り組んでいるところです。

―― メーカー自身がそういうところまでサポートするのは珍しいですね。

西澤さん 実際私たちもお客さまのもとへ伺っています。何が困っているのか、導入するにあたってどうすればいいのか、パートナーと一緒になってやっています。メーカー直のサービスであるメリットを最大限に活かして、パートナーとともに全員が一丸になって問題解決に取り組んでいます。

 お客さまの所へ伺ってお話すると、よく「今までとは違って面白そうなことができそう」と言われるんですよ。今までできなかったことが、1ヵ所でできるんなら、ちょっとお願いしてみようって感じになってくれます。その思いに対して、できる限り頑張って応えていきたいと思っています。

奥原さん スピーディーに高品質ということが、お客さまの所へお届けさせていただく上で一番重要なことだと思っております。そういう心構えで、導入支援サービスを成長させていくよう、心がけています。

 3回にわたって安曇野工場で行われているVAIO製造の裏側を取材してきたが、とにかく「こんなことまでやっているんだ」「人的エラーを極力排除する仕組みがスゴイ」といった驚きと、全てに対してお客さま重視の姿勢が伝わってきて、VAIOユーザーの筆者としてはさらに好きになりました。企業導入する際の決め手の1つであるキッティングも、後のことを考えると一括して頼んだほうがメリットは高く、ゆりかごから墓場までVAIOに任せれば間違いないと確信。西澤さんとお話していると、無理難題でも全て解決してくれるのでは、という気にすらなった。

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