kintoneな人 第5回
地元の行きつけの店で聞いたkintoneと新しい個人事業者の形
kintone Caféの創始者ラジカルブリッジ斎藤氏が実践する「俺流」
2017年06月20日 07時00分更新
Cybozu Conferenceでの「直訴」からkintone Caféの立ち上げまで
ただ、当時はサイボウズの認知も「グループウェアの会社」程度しかなく、本当にビジネスとしてやっていけるか確信が持てなかった。そのため、2013年に開催された「Cybozu conference」に単身で乗り込み、来場者の関心の高さと熱気を感じたという。
「参加者にはkintoneのゲストスペースが解放されていて、青野社長に直接質問できるようになっていたんです。だから、カスタマイズのための開発者ライセンスと情報があれば、ユーザーとサイボウズの間に立つパートナービジネスが膨らむはずだと、えらそうに書いたんですよ。当時はデベロッパー系のパートナーがほとんどいなかったのですが、サイボウズ自体も開発者ライセンスに関してまだ及び腰だったんです」
これを読んだのが、サイボウズでkintoneとコミュニティ関係を手がけていた後迫氏。後迫氏自体も、開発者向けの施策はいろいろ考えていたものの、それを後押しする意見がなく、確信が得られなかったようだ。そんな後迫氏に対して、斎藤氏は販売パートナーとは異なる開発者パートナーの可能性、そして、個人の開発者を巻き込むためのコミュニティ作りの重要性を説いたという。
「後迫さんに『札幌戻ったら、勉強会やってみます』と宣言し、すぐさま年末に勉強会を立ち上げました。とにかくkintoneが知られてなかったので、知ってほしいという気持ちの方が強かった。かつてMovableTypeのコミュニティ『MT Cafe』のお手伝いしていたのですが、あの気楽に参加できそうな感じがよくて、kintone Caféという名前を付けました」(斎藤氏)
これが現在、日本国内のみならず、世界にも拡がっているkintoneのユーザーコミュティであるkintone Caféの記念すべき第1回だ。まずkintoneとはなんぞやという概念からスタートし、続いてハンズオンをやってみた。その後、この第1回に参加した山下竜さん(現ジョイゾー)がkintone Caféを福岡で実施し、その後少しずつ全国に拡がっていったという流れだ。
kintone Caféで面白いのは、斎藤氏が私的に始めた勉強会の理念や目指すところが今に至るまできちんと継承されているという点だ。
kintone Cafeとは?(理念)
kintone Caféは、まだkintoneに触れたことの無い方から、より高度なカスタマイズを行いたいと考えているプロフェッショナルの方まで幅広い層を対象に、 楽しく学び・教え合うことで、kintoneの魅力や活用法をみんなで共有するための勉強会コミュニティです。
kintone Caféが目指すところ
kintoneを、今や社会人としての必須スキルであるExcelと同じくらいあるいはそれ以上の存在に育て・普及させていくことを目指します。
また、kintone Caféを核としたkintoneエコシステムを醸成し、コミュニティに参加・貢献する企業・個人にとってメリットのある場にしていきます。
このうち面白いのは、やはり「kintoneを、今や社会人としての必須スキルであるExcelと同じくらいあるいはそれ以上の存在に育て・普及させていく」と銘打たれているところだ。業務ツールの代表的な存在であるExcelを高みとして示すことで、より多くの人にkintoneに触れてほしいと考えているのだ。
kintoneを使って自分のようなフリーランスを増やしたい
現在、斎藤氏は札幌の自宅を拠点にkintoneのシステム構築やプラグイン開発を行なっている。プラグインとしてはkintoneにカレンダーの機能を加える「カレンダーPlus」を展開しており、好評を博している。
「小規模事業者でも、手軽に、速く、安く、ITでやりたいことができるようにしていきたい。それを実現するためのツールとしては、今のところkintone以外はない。ブランディングという意味でも、『むしろkintone以外やりません』の方が目立てますしね」(斎藤氏)
朝9時半から自宅で仕事をし、飲みに行くときに街に繰り出し、昭和歌謡を楽しむというスタイル。むしろ呑む時間を確保するために、昼間は仕事を集中してやっているという。こういう自由気ままな仕事の形は、あくまで個人事業主という気軽さから実現しているという。
「売り上げも安定してきているし、会社にしないの?とよく聞かれるんですけど、わりとかたくなに会社にしない自分がいるんですよ。なんだか事業が大きくなって、従業員とって、会社にするって当たり前じゃないですか。僕は組織に属さない個人でどこまでできるか実証してみたいんです。いやあ、本当はサラリーマンで人生を終える予定だったんですけどね(笑)」
故郷の札幌でITを生業にする斎藤氏としては、kintoneを使うことで、自分のようなフリーランスが増えるのではと期待している。「地方は仕事がない」とあきらめない、「会社じゃないと相手してもらえない」と思い込まない、バリアフリーな新しい個人事業者の働き方を実践していくという。
「僕も定額制SIの対面開発メニューをやっているのですが、最初のお客様は佐賀県の会社でした。札幌から見ると、もはや東京とか、大阪すら通り越しているんです(笑)。でも、画面を共有して、TV電話でやりとりすれば、全然大丈夫。クラウドサービス使えば、ネット経由でも対面開発できます。だから、仕事するところはもはや選ばないんですよ」(斎藤氏)
地元で仕事や勉強会をやりながら、時に昭和歌謡とお酒を楽しむ斎藤氏が実践する、まさに気負いのない「俺流」。kintoneというクラウドサービスで新しい個人事業者としての可能性を追求しながら、斎藤氏はこれからも好きなことで生きていく。
(提供:サイボウズ)
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