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事例に厚みが増したAWS Summit 2017レポート 第3回

AWS Summit 3日目の基調講演はCTOのヴァーナーCTOが登壇

ソラコム、NTT東日本、ソニーモバイル、グリーが語る「それぞれのAWS」

2017年06月02日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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スマートホームの実現にAWS IoTを活用(ソニーモバイル川西氏)

 3人目のゲストとなるソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル) 取締役EVP 川西泉氏は、同社が注力するスマートホームとIoTを中心にした取り組みを説明した。

ソニーモバイルコミュニケーションズ 取締役EVP 川西泉氏

 Xperiaブランドのスマートフォンを手がけるソニーモバイルは、耳に付ける個人秘書である「Xperia Ear」や新世代プロジェクターの「Xperia Touch」、パーソナルアシスタント「Xperia Agent」など、「スマートプロダクト」と呼ばれるエッジの効いた製品の開発も進めている。これらも含むソニーのIoTビジネスは、デザイン、デバイス、ネットワーク&クラウド、AI、システムインテグレーションなど5つのポイントで展開されておいるが、今回は利用例の1つとなるスマートホームについて説明した。

 同社のスマートホームの構想は、東京電力との提携で進められており、センサーを自宅に取り付けることで窓の開け閉めをチェックしたり、子供の帰宅がわかるいわゆる見守りや、WiFiや人感センサー、スピーカー/マイクを搭載したマルチファンクションLEDライトを用いたコミュニケーション、あるいはスピーカー搭載の電球を用いたエンタテインメントなどが実現できるという。

 こうしたネットワーク対応デバイスのバックエンドはAWSがフル活用されている。このうちデバイスの部分はAWS IoTが用いられており、クライアント認証によるセキュアな通信、MQTTを用いたデバイス間通信、「Device Shadow」を用いたデータ同期などの機能が活用されているという。

AWS IoTをフル活用するソニーモバイルのシステム構成

技術の正しい選択は難しいが「速さ」は裏切らない(グリー藤本氏)

 4人目として登場したグリーの藤本真樹CTOは、エンジニア勉強会のLTそのままのテンションでAWSへの移行をエモく語り、聴衆に鮮烈な印象を残した。

グリー 開発人事統括 取締役 執行役員常務 CTO 藤本真樹氏

 2004年の創業以来、ソーシャルゲーム等で事業を急拡大させてきたグリーだが、声を大きくせずに主張したいのは、2013年くらいから業績や株価が下降し続けており、けっこう大変だったということ。「『まだいたの?』とか言われながら、『まだいたよ』と思っていた」(藤本氏)という状況で、いろいろなことを試してきた結果として、直近の2四半期は業績もきちんと回復できたという。

 こうした「いろいろなこと」のうち、「やってよかったこと」がクラウドへの移行だった。「オンプレミスの数千台ものサーバーをAWSに移行した。1年くらいでこれくらいを移行できた。本当に大変だったね」と振り返る藤本氏。いろいろなサービスを使っていたが、「アイコンとサービス名が一致しない」という藤本氏は、「どれも欠けてはダメだったけど、とにかくダイレクトコネクトがなければ移行は無理だった」と語る。

 移行する検討は必要ない。「まず決める。そしてやり通す」という某アニメの明言を引き合いに出した藤本氏だが、実際にやり通すにはテクノロジーの基盤が重要だと説明。「ちゃんとした準備とテクノロジーがあれば、移行は可能。1年でほとんどトラブルなく移行できたのは、僕らのチームが優秀だったから。インフラチームも、アプリチームも協力的だったし、パートナーの協力もあった」と語る。

 エンジニアは技術を選択する必要があり、さまざまなプロセスや評価がある。しかし、つねに正しい選択をするのは難しい。「正解、不正解は未来がどう進むかによって圧倒的に変わってしまう。だから本質的にはすごく難しい作業」と語る藤本氏が唯一重視するのは、速いかどうかだ。最後、藤本氏のコメントは、「コンピューターが速くて困ることは絶対にない。増やすのが速いか、減らすのが速いか、開発が速いか。最後は速いかどうかをシンプルに考えるのが大事。AWSならそれに答えられると宣伝すれば、ヴァーナーも褒めてくれるのではないかと思いながら、私の話を終えたいと思います」だった。

「速いは裏切らない」のがグリー流というか、藤本流

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