4月22日に行ってきました福岡のJAWS-UG勉強会。駐車場にキャンピングカーを停めて会場に向かう途中、「や ・・・9」っていうナンバーの黒いゴツいベンツとすれ違って「おおおさすが本場(何の)」と恐怖したり。でもJAWS-UG会場はほんわかゆるめ。乾杯からスタートする楽しい勉強会だった。
みんなが思っているより近いよ福岡
福岡は市内の便利な場所に空港があるので、遠方からのアクセスがいい都市と言われる。でも私はいつもの通り、キャンピングカーをとことこ走らせて、福岡市まで。距離にして約1100キロ、途中で休憩を挟みつつ、14時間程度でたどり着いた。なるほどアクセス至便。距離も時間も、大阪のちょうど2倍くらい。一般的なサンデードライバーなら、苦鳴を漏らして途中で断念する程度の近さだ。
ちなみに、不測の事態に備えて1日余分に日程を確保することにしている。なので、福岡に着いた初日は焼き鳥食って寝ただけ。運転したあとは休息を取るのも、仕事のうち。
乾杯と自己紹介から始まる、ゆるくあたたかい勉強会
さて、そんなこんなでたどり着いた福岡。会場はヌーラボさんにご提供いただいたということで、繁華な場所にあった。駐車場の空きスペースが見つからず困ったけれど、なんとか開始時間ギリギリに滑り込み。「1日余分を取っていたくせに、取材にはギリギリってどーなの」っていう質問は、ここでは受け付けない。
JAWS-UG福岡は、乾杯からスタートするということで、まずは各々缶ビールなどを手にとって着席。「ぜひこの場で仲間を作って帰ってください!!」という藤崎さんの掛け声に合わせて、景気良くかんぱーい。
そしてまずは自己紹介。参加者全員が自己紹介する時間を取れるってのも、参加人数が多すぎない地方勉強会ならでは。50人、100人と集まるような大きな勉強会で全員が自己紹介したら、それだけで終わっちゃうもんね。持ち時間1分で約30名が自己紹介をしたのだけど、なんとぴったり30分で終了。何の用意もないのにオンタイムなんて素晴らしいと、ひとしきり盛り上がった。こういうできごとって、どうでもいい小さなことだけど、「30人が喋ってぴったり30分だ!」って、無意味にテンション上がるよね。ちなみに筆者は2分くらいしゃべってしまった。申し訳ない(笑)。
AWSのおふたりから、カルチャーと実践的テクニックを聞く
前半は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)の盛田 裕さんと荒木 靖宏さんのセッション。盛田さんはAWSに転職して感じた独特なカルチャーについて、語ってくれた。スライドは非公開とのことなのであまり詳しいレポートは避けるが、カスタマーを中心に考える文化が徹底されているというのが印象的だった。クラウドサービスは価格の透明性が高く、ユーザーが工夫すれば安く使えるのが特徴。しかしそれだけでは足りないらしい。無駄にたくさん買っているユーザーを見つけたら、コスト削減の提案をすることもあるのだそうだ。価格が透明で値引きがないので、属人的な駆け引きはない。その代わり、すべてのカスタマーに、できるだけ安く提供できる方法を考えるのだという。値引きなどで一部のユーザーだけが恩恵を受けるのではなく、ユーザーみんなが納得する価格を維持するために努力しているということなのだろう。
盛田さんに続いてAlexa……ではなく荒木さんから、CloudFrontを徹底活用する方法が語られた。CloudFrontはいわばAWSにおけるCDNサービスであり、うまく使えばAWSにかけるトータルコストの削減にも役立つという。特にグローバルに発信する場合は、2016年12月に発表されたリージョナルエッジキャッシュ機能が効果を発揮する。各リージョンにキャッシュデータを持たせることで、オリジナルのEC2にデータを取りに行く回数を減らせる。中にはオリジナルのトラフィックを7分の1にまで削減できたケースもあり、もちろんその分だけEC2のコストを削減できることになる。こうした効用を得るための具体的テクニックも紹介された。
また、ネットワークに詳しい荒木さんだからこそ喋れるネタということで、セッションの最後にAWSのトラフィックについて語られた。それによれば、現在トラフィックの4割をIPv6通信が占めているとのこと。多いと感じるか、少ないと感じるか。筆者は「まだその程度なのか」と思ってしまった。「IPv4が枯渇するぞ」ってメディアが騒いでいたのはなんだったんだろうって騒いだ側の人間がこんなこと言っちゃダメか。ちなみに、アジア圏でIPv6普及率がもっとも高いのはインドだそうだ。ITの普及が遅い国の方が、新しい技術の浸透は早い。日本も早く、追いつかねば。と言いつつ、IPv6がいまだによくわかっていない筆者なのだった。
脱藩組おふたりからの、とてもここには書けない話
古渡 晋也さんは「AWSで飯が食えるか」というセッションで登壇したが、中身は脱藩についてのお話。「グレーゾーンもあり公開できない」と古渡さんが言う資料も、それを使った話も、ここでは詳しく書けない。あえて一言だけピックアップするなら、次の言葉が脱藩を考える読者へのアドバイスになるだろう。
「転職するなら自分の欲を見つめること。権力が欲しいのか、創作したいのか、食欲、金……自分が仕事に何を求めているのかをしっかり考えるべきです」(古渡さん)
休憩とちょっとした余興を挟んで、登壇したのは岡崎 賢吉さん。「AWSよもやま話」なんて当たり障りのないタイトルがついていたが、こちらも転職した際の話。転職先として検討した企業の岡崎さん的評価が面白く会場大爆笑だったのだが、書けない。何も書かないのももったいないので、こちらも当たり障りのないアドバイスだけ、取り上げておこう。
「『AWSできます』で転職できる時代は終わりました。AWSは道具であって、それを使って何ができるのかというところまで見られるようになっています」(岡崎さん)
それにしても岡崎さんとはあちこちの地方勉強会でお会いする。もうすっかりなじみの顔という雰囲気で、活発な活動にいつも敬服する。
敵陣に送り込んだ鉄砲玉から届けられた挑発的な(?)余興
古渡さんのセッションと岡崎さんのセッションの間に行なわれた“余興”とは、Amazon Chimeを使った遠隔セッション。オルターブースの森田 邦裕さんが、同日に東京で開催されていたGlobal Azure Bootcampの会場からビデオ会議で参加した。マイクロソフトのお膝元、品川本社の会場から、SkypeではなくAmazon Chimeを使ってJAWS-UGに遠隔登壇できるなんて。マイクロソフト、Amazon両社の懐の深さを感じずにはいられなかった。
ちなみに、周囲がうるさかったので登壇と言っても大した話が聞けたわけではなく、「Chimeでつないでみるとこんな感じです」というレベルだった。藤崎さんが「余興でした」と言ったのも、そのためだ。環境さえ整っていれば、もっとしっかりした品質で通信できるものと思うが、向こうは向こうで勉強会の最中であり、リアルタイムに両会場をつないでしまっただけで十分な暴挙、いや成果と言っていいだろう。
後半はJAWS Days 2017関連セッションも充実
後半4セッションのうち、山ノ内 祥訓さんの「JAWS Days 2017 セッションリプレイ:mizuderuからnekoderuへ」と、木村 健一郎さんの「JAWS Days 2017 スタッフ体験記」は、3月に開催されたJAWS Daysの振り返り。夏目 祐樹さんの「スカラシップでJAWS Days 2017 行ってきた」も含め、半分近くがJAWS Days 2017の振り返りに費やされた。遠方になるほど参加が難しいため、現地での体験を持ち帰って共有する場があるのはありがたいことだと思う。
ともあれそれらの情報はJAWS Daysのレポートでもお伝えしたことだし、ここでは別のセッションに注目したい。安土 茂亨さんの「AWSでゴールドラッシュ!!」だ。ひとことでいえば、FPGAを使えるF1インスタンスを使ってビットコインを採掘しようぜ!というお話。難しいことは省くが、ビットコインの取引には膨大な量の計算が求められる。みんなで寄ってたかって計算し、もっとも早く解を得た人に報酬が与えられる仕組みになっている。CPUの演算能力では競争に太刀打ちできず、GPU、FPGAと競争は激化。今は専用のASICを開発して演算を行なうグループもある。FPGAやASICを個人で用意するのは困難だが、必要なときだけ使えるAWSなら話は別だ。もっとも、インスタンスお利用料金に見合うだけの報酬を得られるかどうかといえば、現状では微妙な状況。一攫千金を狙える……かもしれないという、まさにゴールドラッシュのような状況と言わざるを得ない。
「ゴールドラッシュのときに一番儲けたのは、金を採掘するために集まった人たちを相手に商売した人たちです。AWSでビットコインを採掘するのも……一番儲けるのはAWSということになるかもしれません」(安土さん)
なるほど、まさにゴールドラッシュと同じ状況。しかし夢のある話でもあるので、いつか試してみたいと思っている。
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