日本マイクロソフトは5月23日と24日、ザ・プリンス パークタワー東京で、開発者向けの年次イベント「de:code 2017」を開催する。2017年は、「AI(人工知能)」と「MR(Mixed Reality)」をキーテーマに、2日間で過去最多の138セッションを予定している。
また今年は、de:code 2017で紹介された新しいテクノロジーをいち早く身に着けられるハッカソン「de:code Hack Days」をイベント翌日の25日から2日間にわたり開催する。前夜祭を含め全5日間の“de:code Week”について、イベントコンテンツオーナーの日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 エバンジェリストの井上章氏にきいた。
参加無料の前夜祭はデブサミとコラボ、あの名物エバに会える
まずは5月22日の前夜祭。2017年は翔泳社のデブサミ(Developers Summit)とコラボし、IoTやAIの領域で活躍しているエンジニアを招いて開発者のこれからのキャリアデザインについて考えるビアバッシュを行う。昨年のde:code 2016で華麗にデビューした日本マイクロソフトの若手エバンジェリスト「ちょまど」こと千代田まどかさんも登壇する予定だ。
前夜祭は(de:codeのチケットを買っていない人でも)誰でも無料で参加できるようになっている(事前登録制)。また、前夜祭の会場で、翌日からのde:code 2017の事前チェックインを受け付ける。例年、キーノート前のチェックインには行列ができるので、前夜祭から参加する場合はここですませておくとよいだろう。
イケメンすぎるHoloLens発明者・キップマンが基調講演に登場
1日目のキーノートには、米マイクロソフトでKinectやHoloLensの開発をリードしてきたテクニカルフォローのアレックス・キップマン氏が登場する。HoloLens発明者自らが語るMRの世界観と最新動向に注目したい。「キップマンが米国外のイベントに登壇するのは稀なことです。グローバルでみて、日本はHoloLensの売れ行きが飛びぬけてよく、キップマン自身も日本市場に注目しています」(井上氏)。
そのほかにも、2016年10月に新設された米マイクロソフトのAI研究機関「AI & Research」を統括するスティーブン・グッゲンハイマー氏、最新のSQL Server 2017をはじめとしたデータプラットフォーム製品を統括するジョセフ・シロシュ氏の登壇も予定されている。本社のビッグネーム3人が45分ずつ講演する今年のキーノートは3時間の長丁場(9:30~12:30)。参加前にはトイレに行っておこう。なお、キーノートはライブストリーミングも用意されている。
あれ?Azureトラックがない?
ブレイクアウトセッションは、「Artificial Intelligence」、「Windows Client & Mixed Reality」、「Data & IoT」、「Security」、「Mobile & Web」、「Development Tools」、「DevOps」、「Business Application Platform」、「Architecture」、「Chalk Talk」、「Special」の11トラックで構成される。
最近のマイクロソフトの開発者イベントといえば、クラウドのMicrosoft Azureが主役だった。しかし今回のde:codeでは、Azureセッションをまとめたトラックは設けていない。「クラウドは、アプリケーション開発者が当たり前に意識するテクノロジーに成熟しました。今回のde:codeでは、AIやIoT、モバイル、セキュリティなどのテーマに紐づける形でAzureのテクノロジーを紹介します」(井上氏)。
キーテーマはAIとMR
2017年のde:codeはAIとMRがキーテーマ。AI周りの技術情報を紹介する「Artificial Intelligence」トラック、Windows 10とHoloLensのアプリケーション開発にフォーカスした「Windows Client & Mixed Reality」トラックに、特に多くのセッションが用意されている。
AIトラックでは、Microsoft Cognitive Services、深層学習フレームワークMicrosoft Cognitive Toolkit(旧CNTK)といったマイクロソフトのAIテクノロジーを紹介するセッションが用意されているが、敢えて注目したいのは、日本製の深層学習フレームワーク「Chainer」のセッション(Day 1の18:20~19:10「深層学習フレームワークChainer×Microsoftで広がる活用」)だ。
Chainerは、東京大学発ベンチャーのPreferred Infrastructure(PFI)が開発し、2015年6月にオープンソースとして公開したもの。Nvidia製GPU上で動作する。2017年2月にマルチノードでの分散学習に対応し、パブリッククラウドのGPUインスタンスとの組み合わせが期待されている。ちょうど、マイクロソフトは5月8日(米国時間)にAzureからNVIDIA Teslaベースの新しいGPUインスタンスを発表しており、セッションではChainerのテクノロジーと合わせて最新GPUインスタンスの話も聞けるかもしれない。
Windows Client & Mixed Realityトラックは、日本のHoloLens伝道師・高橋忍氏のセッション(Day 1の15:40~16:30「本気で始めるHoloLens プラン・設計・開発の勘どころ」)など、HoloLensのアプリケーション開発についての技術セッションが多数ある。「5月10日~12日に米国で開催されるBuildで、HoloLens関連の新発表がありそうです。新発表があったら、de:codeにセッションを急設して紹介します」(井上氏)。詳しくは下記の公式動画を参照。
CTOと直にディスカッション、ホリエモンも来るよ!
少人数の参加者とスピーカーで特定の技術テーマについてディスカッションをするChalk Talkトラック。日本マイクロソフト CTOの榊原彰氏と直接対話できるチョークトークセッション(Day 1の14:20~15:10「CTOとチョークトーク!私たちがクラウド時代/AI時代に求める技術者」)もある。詳しくは下記の公式動画を参照。
また、Specialトラックには実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏も登場。日本マイクロソフトの名物エバンジェリスト西脇資哲氏と、HoloLensやMicrosoft Translatorなどのテクノロジーをテーマに対談するそうだ。
de:codeのあとはハッカソン
今年は新しい試みとして、de:codeが閉幕した翌日の25日から26日にわたり、会場を日本マイクロソフト品川本社に移して「de:code Hack Days」を開催する。ハッカソン、ハンズオンを通じて、イベントで紹介された新しいテクノロジーを、実用レベルで身に着けるスペシャルイベントだ。de:code参加者を対象に、先着順で200人を募集する。
アスキーでは、今年もde:codeのキーノートやテクニカルセッション、ハッカソンの様子をレポートする予定だ。記事もお楽しみに。