最新パーツ性能チェック 第213回
シーケンシャルリードで毎秒900MB超え!
HDDベースのPCが超サクサク!インテル「Optane Memory」速攻レビュー
2017年04月27日 15時10分更新
ゲームの待ち時間もあっと言う間に短縮!
ベンチマークツールで数値が向上したところで、体感できなければ意味がない。そこで今回はWindows 10の起動時間と、ゲーム「Battlefield 1」での読み込み待ち時間がどう変化するかを調べてみた。
Windows 10の起動時間はシャットダウン状態から電源ボタンを押し、POST時の“ピッ”というビープ音発生時から、Windows 10のデスクトップが出るまで(パスワードなしでセットアップし、最短でデスクトップが出るように設定している)の時間を計測した。なお、UEFI BIOS設定でFastBootは有効、CSMは無効にして実験している。各々の環境で5回ずつ計測(0.1秒のケタは四捨五入)している。
HDDだけの環境が一番時間がかかる……という点は間違いないが、今のOSではある程度シャットダウン→再起動を実施するとかなり起動時間が短縮されることに注目。だがそれでもSSDの起動時間よりずっと遅い。そして、Optane Memoryを組み合わせるとさらに待ち時間が短縮される点に注目しよう。SSDとOptane Memoryの組み合わせは高速だが、HDDと組み合わせた時の落差とコスパ感が凄い。
Battlefield 1の待ち時間計測はシングルプレイ用ステージ「O LA VITTORIA」を開始する際の待ち時間を計測した。画質は“最大”、解像度はWQHDに設定しているため読み込むデータはかなり多いはず。ステージ開始のボタンを押した瞬間から、イントロムービーをスキップできるようになるまでの時間を計測した。こちらも5回計測時の推移を調べてみた。
ちなみに、どの環境もBattlefield 1をセットアップして動作を一度確認した状態からスタートし、計測の試行ごとに再起動をかけている。
SSHDなどに組み込まれているHDDをSSDにキャッシュする技術は、そのファイルが頻用されると判断されたらSSD側に入る。そのためある程度使わないと良い結果が得られないのが普通だが、Optane Memoryはいきなり良い結果が得られた。Battlefield 1をセットアップした直後ゆえにOptane Memory側にデータが残っていたと考えるのが自然だが、すぐ効果が実感できるという点は面白い。
ただし、Battlefield 1を遊ばない間に大きなファイルをいくつか読み書きすると待ち時間は再び遅くなる。試しにHDD+Optane Memory環境でファイルを8GBほどデスクトップ上でコピーしてからBattlefield 1を起動すると、HDD単体時とほぼ同じ1分20秒程度まで読み込み待ち時間が長くなった。
まとめ:立ち位置によって評価は変わる
Optane Memoryに関して世間の評価はやや過大気味ではないか、というのが今回のテストで受けた印象だ。DIMMスロットに装着するSkylake-SP向けのOptane版のDIMMモジュールは凄いのかもしれないが、今回登場したStony BeachことM.2スロットに装着するOptane Memoryは、現行のNVMe SSDがあれば慌てて買うほどのものではない。
このOptane Memoryのメリットを最も享受できるのは「OS起動ドライブがHDD」なKaby Lake-S搭載マシンを使っているユーザーだろう。SSDは今安くなっているとはいえ、1TBクラスのSSDを調達するとなればSATAで3万円程度、NVMeなら最低でも4万円台中盤の出費が必要だ。しかし、1TB HDDとOptane Memoryなら両方で1万円強で手に入る。むろん高速化される範囲には限りがあるが、ファイルの動きの少ないライトユーザーならこれで十分だろう。
ただ、Optane Memoryを買う予算でSSDを買うという考え方もある。6000円なら128GB、1万円も出せば256GBクラスの安いSSDが手に入る。ピーク速度はOptane Memoryより下だが面倒な導入は不要。こちらもメリットはそれなりにある。
では、Optane Memoryをどう受け止めればよいのだろうか? コアな自作erのためのPCパーツというよりも、主にHDDを搭載した低価格なメーカー製PCユーザーのためのデバイスと筆者は考える。特にOSの再インストールはなくOptane Memoryの有効化が実施できるツールが出てくれば、HDDしか搭載しない激安デスクトップPCやノートPCのパフォーマンスアップ用オプションとして活躍しそうな気がする。
■関連サイト
Intel ARK Optane Memory
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