映画の撮影時に、カメラと一緒に使う「スタビライザー」(安定化装置)という特別な道具がある。
いつ頃から使われはじめるようになったかは知らないが、子供の頃、琵琶湖畔で時代劇の撮影を生まれて初めて見た時は、撮影カメラの大きさとともに、カメラと撮影者を載せてレールの上を走る車両や、クレーンに取り付けたカメラに度肝を抜かれたことを今もハッキリと覚えている。昔は巨大な装置だった。
あれから何十年という年月が経ち、誰でも簡単に高解像でスムースなフレーム数の動画が撮影できるスマホ全盛時代となった。
スマホ動画の超初心者である筆者もドローンの進化とともに、動画撮影マーケットの表面で目立つ存在になってきた安価なスタビライザーとやらが欲しくなってきた。
とは言え、基本は無精で飽き性で、スマホ用スタビライザーは今さら新しくもなく、飛びつきたくなるほどのリーディングエッジの商品でもない。
そして、時代は、スマホをどこに向けて撮影しても、スムースな撮影の可能な3軸機構を搭載した製品が主流となり、ちょっと前の2軸機構を搭載したスタビライザーがあっと言う間に低価格商品となってきている。
いつも通りの筆者なら、コスパがどうのこうのと言うつもりはまったくなく、たとえ高くても最新モデルを衝動買いするのが普通だ。しかし今回は、テクノロジーよりも値段に惹かれて「X-CAM SIGHT2 Creative Sight」(以降 X-CAM)という2016年発売されたスマホ用の2軸スタビライザーを衝動買いしてしまった。
2軸の手ブレ防止機構を備えるスタビライザー「X-CAM」
“安いには訳がある”のはこの世界でなくても常識だが、発売時に1万5000円前後して、しばらくしたら1万円、その後1万円を切ったかと思えば、あっと言う間に筆者が買った5400円まで値段が下落した。
これは、3軸機構を搭載した安い製品の登場と、市場競争の激化、YouTubeなど動画サイトの活況と、動画撮影ユーザーの増加による全体的な市場拡大が一番の理由だろう。
ウェブサイトなどの情報を事細かく見ていくと、明らかに2軸と3軸の撮影結果は違うようだが、一番大事なのは、購入者がどの程度、その撮影結果に満足できるかだろう。
アウトドアカメラをバイクや自転車に搭載して走りながら撮影することが日常なら選択肢もきっと変わるだろう。
今回の場合、筆者の目的はただ1つ。自宅のワンコを室内でローアングルから追いかけて撮りたい! ただそれだけだった。
早速届いたX-CAMは極めてコンパクト。パッケージに中には、一言では説明のしようがない複雑怪奇な格好をしたX-CAM本体と、充電用のUSBケーブル、小さなスマホを搭載する時のためのスペーサー、チルト動作がおかしい時に調整する小さなレンチと予備ネジ1個、X-CAMも持ち歩き用ケース、取説、保証書が入っている。
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