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kintoneな人 第3回

kintoneは単なる業務改善だけのツールにあらず

障害者でもアイデアを形にできるkintone、仙拓の松元氏が語る

2017年04月26日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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kintoneの出会いは青野社長に送りつけた寝たきり社長の本

 そんな仙拓の2人がkintoneと出会ったのは約3年前。それ以前は、無償で利用できるSNS「サイボウズLive」を利用していた。もちろん便利に使いこなしてはいたが、未読と既読のコントロールが難しかったり、スレッドが増えた際の管理が面倒といった部分で使い勝手に満足できない部分も多かったという。

「佐藤と『サイボウズに文句言ってやろうぜ』と冗談で話していたら、彼が悪ふざけで自分が書いた寝たきり社長の本を直接サイボウズの青野社長に送りつけちゃったんです(笑)。そうしたら、青野社長がいたく感動してくれ、顧問アドバイザーになって、事業にいろいろ協力してくれることになったんです」

自宅で仕事中の松元氏(提供:松元氏)

 こうしてサイボウズとの関係が深くなった同社は、コンサルティングに携わる関西の青山 敬三郎氏の勧めで、kintoneを使い始めることになる。当初は社内の業務改善を目的とし、タイムカードの打刻時間から給与を計算するアプリから作り始めた。当時はセミナーもあまりなく、チュートリアルも整備されていなかったが、アプリをすぐに作れたのが印象的だった。

「金髪の青山さんもやばかったけど、それ以上にkintoneがやばかったー(笑)。こんなに簡単にデータベースが作れてしまうのかと思った」

 松元氏は今までをExcelやWordを使っていた業務を、片っ端からkintoneに変え始めた。kintoneを使うことは、業務を変えること。非効率なやり方を考え直し、属人性を廃するため、とにかく松元氏はkintoneを使い込み続けた。こうして1年かからないうちに、松元氏はkintoneのさまざまなノウハウや使いこなしを習熟していくことになる。

「最初はタイムカードと賃金台帳。その後は社内のスケジュールとか、タスク管理とか、いろいろ使い倒しました。こうして作ってみると、使うアプリはだんだん絞られてくるので、それらをさらにカスタマイズし、洗練させていきました。たとえば、賃金台帳から給与明細も作れるようにして、スケジューラーもGoogle Calenderと連携できるようにしました」(松元氏)

 あるときは社長の佐藤氏が7ヶ月に渡って入院し、生死をさまようことがあった。副社長の松元氏は、社長の業務を引き継いだが、そのときにも多くの業務をkintone化していったという。

「そのときは僕が佐藤の仕事を引き継いだんですけど、給与計算をWordでやってたり、案件の管理も佐藤本人じゃないとわからないようになっていたり。こんなに効率悪い仕事してたのか、もっとやり方あるだろうと思って、どんどんkintoneに移していきました。7ヶ月後に戻ってきた時には、システムが全然変わっていたので、佐藤も『浦島太郎になった気分』と笑ってました」(松元氏)

名刺作成から、kintoneによる名刺作成アプリの開発へ

 kintoneを使い込むようになっていくと、そのノウハウはまさに商売のタネとなっていく。こうして仙拓は名刺デザインやWebデザインといった既存のビジネスに加え、ITの導入コンサルティングやiOSアプリのプロデューサー、kintoneを使った自社サービスまで手がけるようになった。

 2015年には月額2万円でWebサイト制作、名刺作成、請求書管理、社内システムまでトータルでまとめた「SENTACシステム」を開始する。PC、スマホ、タブレットに最適なレスポンシブデザインのWebサイトを月額料金のみで作成し、オーダーメイドの名刺1000枚(年間)まで作成できる。顧客や案件、日報、見積もり、契約書などを管理する社内システムにはもちろんkintoneを活用し、請求書管理には仙拓でも愛用しているMisocaを用いることにした。労力やコストに限界のあるスタートアップや店舗などにオススメのサービスだ。

 kintoneを使った名刺作成アプリも、導入コンサルティングを手がけたとある自治体のニーズで作られたものだ。「データを入力したら、名刺がぱぱっと作れるシステムってないの?」という相談を受けたのがきっかけだったが、予算はまったくなかったという。

「そもそもうちはシステム開発やってないし、そんなシステムがあったら、うちがほしい(笑)。でも、どうしても自治体の案件がほしい佐藤に『kintoneでどうにかできないの?』と頼まれて、悩んだあげくkintoneとフォームクリエイター、プリントクリエイター(サイボウズスタートアップ)を組み合わせればできるかもと考えた」(松元氏)

 さっそくプロトタイプを作った松元氏が師匠の青山氏に相談すると、「それ、いけるで」というコメントがもらえた。そこから松元氏は30分でプロトタイプを作成。任意のサイズに出力できないというフォームクリエイターの制限を、Photoshopのマクロにあたるアクション機能で解消した。このアイデアにより、プログラムを書くことなく、名刺サイズに自動カットできるようになっているという。

青山敬一郎氏に「それ、いけるで」をいただき、30分でプロトタイプ完成

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