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男子育休に入る 第5回

赤ちゃん連れで都内を歩いて感動したこと

2017年04月12日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● 家電ASCII編集部

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34歳の男が家事育児をしながら思うこと。いわゆるパパの教科書には出てこない失敗や感動をできるだけ正直につづる育休コラム。

 おはようございます、家電アスキーの盛田 諒(34)です。育休コラム「男子育休に入る」第5回は赤ちゃんとお出かけです。ようやく育休コラムらしくなってきました。床上げするまでの約1ヵ月間はソファで赤ちゃんを抱っこしたまま録画を見まくっていたため育休というより無職の様相を呈していました。「育休をとってよかったことは?」と数週間前に聞かれたら「赤ちゃんの顔をずっと見ていられることと『カルテット』『けものフレンズ』最終回をリアタイ視聴できたことです」と答えていたと思います。今期は『Re:CREATORS』を中心に据えていきます。よろしくお願いします。

 赤ちゃん連れで東京を歩いて気づかされたのは、「授乳室」「おむつ替え台」という2大赤ちゃんスポットの貴重さでした。赤ちゃんは生後1ヵ月が経ち、2〜3時間おきにおっぱいを飲んで排泄するようになっていますので、どこに行くにも「赤ちゃんスポット何km圏内」の意識をもった行動が必要となります。赤ちゃんが生まれるまではまったく注意していませんでしたが、今ではきれいで広くて鍵のかかる個室の授乳室がオアシスのように感じられるようになりました。都内を移動しながら使っていたのは有志が開発した投稿型アプリ『ママパパマップ』。先輩ママパパが投稿したクチコミが詳細でとても役に立ちます。都内は百貨店・ショッピングモール・ファミレスがほとんど、地域によってもかなり大きく差が出ます。たとえば住みたい街ランキングでおなじみ吉祥寺などはかなりの赤ちゃん強駅でした。

 iPhone片手に向かった新宿で感銘を受けたのは伊勢丹です。お客さんをこれでもかともてなそうという資本主義的優しみを感じました。

 感動したのは6階ベビー・キッズ売り場の脇にあるデラックス赤ちゃんスポット「ベビー休憩所」です。入り口には離乳食の自動販売機、入ってすぐには調乳用のウォーターサーバーと離乳食用の電子レンジ。右側にはおむつ替え台がたくさん並び、行ったときには父親たちが並んでせっせとおむつを替えていました。おむつ替え台の隣にはおむつの自動販売機があり、使用済みおむつを捨てるシュレッダーのような電動ゴミ箱も設置されています。赤ちゃんの体重をグラム単位で量れる電子スケールも置いてあって便利です。休憩所の奥には離乳食をあげられるベビーチェアが並び、その奥には授乳室が。個室が3つ、カーテンで仕切られた部屋が3つ。どちらも男性は入ってこられないようになっています。当然ですが利用は無料、尋常でないほど混んでいましたが、ママパパが集まる理由はよくわかりました。

 ちょっと調べてみますと、京王、小田急、高島屋、いずれの百貨店もベビー休憩室を備えており、設備を充実させているようです。もっとも赤ちゃんにやさしい百貨店はどこなのか、そのうち設備・面積・かわいさなど比較してみたいと思っています。

 伊勢丹でもう1つ感動したのは屋上庭園「アイガーデン」でした。

 ウッドデッキがあり、子供が遊べる遊具があり、トウカイザクラをはじめ季節の花が咲いています。トイレがあり、ごみ箱があり、自販機があり、警備員が立っており、食べ物・飲み物も持ち込めました。たまたま催事場で開いていたパン祭りで「パンとエスプレッソと」(BREAD, ESPRESSO &)のホットドッグを買い、屋根のついたテラスのような場所でもぐもぐ食べたのですが、非常に天国でした。もちろん外なので赤ちゃんが風邪をひかないように気をつける必要はありますが、いい季節ならへたにカフェやレストランを探すより圧倒的に便利です。当然ですがこちらもやはり利用無料。新宿の屋上庭園としては小田急も有名らしいので、今後こちらも実地比較してみたいと思っています。

 こうして赤ちゃんと歩いていると、自分ひとりでは知ることのなかった世界が次々に見えてくるものですね。「授乳室、ありますね」というくらいで目の端に入っていたくらいの場所も「授乳室、ありますね!」と目に飛びこんでくるようになりました。赤ちゃんを抱っこしていると「落っことしたらどうしよう」「いきなり騒ぎはじめたら」といった心配事も次々と襲ってきます。いつもの風景を楽しく見せてくれる「ポケモンGO」をはるかに超えた日常のスリルとサスペンス、それが赤ちゃんとのお出かけでした(まあ赤ちゃんは抱っこされてずっと寝ているだけなんですけど)。

 「子供はすぐに大きくなる」「新生児期なんて一瞬だよ」とみんなに言われます。このリアリティを感じられるのもきっと今だけなんでしょう。すぐに過ぎ去ってしまう幻のような時間なのだと思います。毎日のように体重が増え、四肢が大きくなり、顔が変わっていく赤ちゃんの姿を目の当たりにしていると、取り戻せる時間なんて片時もないと強く感じます。「授乳室、ありますね!」。この言葉もいま言えるうち、言えるだけ言っておこうと思いました。サンキュー、授乳室。



書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。パパに進化しました。3月1日から4月26日まで育休中。Facebookでおたより募集中

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