ERPや大規模SQL DB、SAP HANA環境に適する最大0.5TBメモリ/32CPUコア搭載「Gシリーズ」
MS Azure、東日本リージョンで基幹業務アプリ向けVMを提供開始
2017年01月17日 07時00分更新
日本マイクロソフト(日本MS)は1月16日、「Microsoft Azure」IaaSにおいて、大容量メモリを搭載した仮想マシンインスタンスである「Gシリーズ」を、同日より東日本リージョンでも提供開始すると発表した。最大0.5TBのメモリを搭載し、SAP ERPや大規模データベースなど、企業の基幹業務アプリケーションに適するとしている。
今回、東日本リージョンで提供を開始したのは、Xeon E5 v3ファミリーのプロセッサを採用し、同一コア数の汎用仮想マシン(Dシリーズ)比で2倍の大容量メモリと、4倍のSSDストレージを搭載したGシリーズ。
具体的には、2CPUコア/28GB(GiB)メモリを搭載する「G1」から、32CPUコア/0.5TB(448GB)メモリを搭載する「G5」まで、5種類のインスタンスをラインアップする。このうちG5は、単一の顧客専用ハードウェアが提供される。加えて、このGシリーズに、8万IOPS超の永続ストレージサービスである「Premium Storage」を組み合わせた「GSシリーズ」も提供される。
なお、SAP HANAで0.5TB超のメモリを利用したい場合には、米国東部/西部リージョンで提供中の「SAP HANA on Azure(Large Instances)」が利用できる。OLTP用には最大4TB、OLAP用には最大32TBのメモリを搭載したインスタンスが提供されている。
マイクロソフトでは、大容量メモリ/ローカルストレージを搭載するGシリーズを、大規模SQLデータベースやNoSQLデータベース、ERP、データウェアハウス(DWH)などの用途に適するとしている。
G5インスタンスにPremium Storageを付加したGS5インスタンスにおいては、SAP S/4 HANA、OLTP NetWeaver用HANA Enterprise Edition(EE)、OLAP用HANA EEの認定も受けている(開発/テスト環境。本番環境では一部制限あり)。発表では、アビームコンサルティングがSAP S/4 HANAの開発/テスト環境をGシリーズで構築することもアナウンスされている。
加えて、マイクロソフトの国内SI/コンサルティングパートナー11社が、AzureのGシリーズインスタンスを活用し、S/4 HANAを中心とした基幹業務システムの稼働検証を行い、それをふまえたSI/コンサルティングサービスメニューの提供を開始する。
「Gシリーズはベストのタイミングで国内市場に出てきた」日本MS・佐藤執行役員
同日の発表会ではまず、米マイクロソフト クラウド&エンタープライズグループ GMのマーク・サウザ氏が、エンタープライズの基幹業務向けに機能強化を図るAzureの現状や、SAPソリューションとAzureとの関係について語った。
AzureのIaaSでは、さまざまなワークロードに最適化されたインスタンスラインアップを強化してきており、その中ではSAP HANAワークロードなど、基幹業務システムへの対応もさらに強化している。今回のGシリーズもその1つだ。
またサウザ氏は、SAPソリューションのクラウド基盤として「Azureが最適」であると述べ、その理由を説明した。SAPと20年を超える協業の歴史があり、現在も密接な関係で連携ソリューションを開発していること、Azureにより迅速かつ簡単にソリューションを利用できること、オンプレミスのIT資産をシームレスにクラウドへ拡張できること、などだ。
日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズビジネス本部 本部長の佐藤久氏は、エンタープライズ顧客の基幹業務システムが抱える「セキュリティ」「ハードウェアコスト」「サイジング」「人件費」といった課題の多くが、オンプレミスからクラウドへの移行で解決できると語り、Gシリーズインスタンスとパートナーソリューションの提供開始を通じて、Azureがその基盤となることを説明した。
「日本マイクロソフト、わたしの部門としては、(Gシリーズは)ベストのタイミングで(国内データセンターに)出てきたと考えている。Gシリーズが東日本データセンターで提供されるだけでなく、パートナー、市場環境、ユーザーニーズなどがマッチしないと、(オンプレミスの大規模な基幹業務)ワークロードは移行しないだろう。今回、パートナーソリューションも含めてアナウンスできたので、一番良いタイミングだったのではないか」(佐藤氏)