新技術で競合に追いつく
さらに2011年からは4F^2タイプという、従来にない構造をとることで完全に競合メーカーに追いつき、考え方によっては追い抜くことになった。
このFというのは最小寸法加工で、一般的なDRAMセルを4F^2にすることで、DRAMセルの面積を3分の2に減らせるという優れものである。つまりダイサイズが同じなら容量を1.5倍に増やせるわけで、プロセス微細化だけで実現しようとすれば36nmあたりに相当する製品になるからだ。
もっともこれ、試作に関してはその後エルピーダメモリーなどが発表しているが、最終的に量産にこぎつけたメーカーは1社もないあたりが、加工の難しさを物語っている。ただこの時点ではまだ4F^2には楽観的であった。
ちなみに埋め込みワード線の模式図が下の画像である。横に長く広がっている赤い部分がワード線(ワード方向の配線)であるが、これを絶縁膜の中に埋め込むことで消費電力を抑えることが可能になる。
実際同社の75nm世代はもとより、58nm世代のチップと比較しても埋め込みワード線タイプの65nm品の方が低消費電力になる、という見通しであった。
新技術での生産の前に倒産
残念ながら、そこまで同社は持ちこたえなかった。不況の影響を受け、同社の2008年第3四半期の決算は売上が前四半期比で7%減、前年比で48%減の3億8400万ユーロ、営業損失は3億8600万ユーロであった。
そもそもこの3四半期での合計の損失は14億4400万ユーロに達しており、前年の3四半期合計利益の1200万ユーロから一転しての大赤字になった。
最終的に自力更生は不可能と判断した経営陣は2009年1月にドレスデン地方裁判所にinsolvency protection(日本で言う会社更生法)の申請を出す。これに続き、同社の世界中の子会社も相次いで破産申告をすることになった。
同社の75nmのトレンチタイプの技術はNanya Technologyに、GDDR3/GDDR5の技術はエルピーダメモリーにそれぞれ技術移管されたが、同社を救うはずであった埋め込みワード線の技術はライセンスされなかったようだ。
その後競合メーカーも埋め込みワード線技術は採用しているが、これはQimondaの開発したものとは異なる方法で実装されている。新規株式公開から3年たたずに破綻、というあたりがDRAMビジネスの難しさを物語っていると言えよう。
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