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超高性能GPSで作る空の道の精度は数cmオーダー!

空の安全を確保する飛行機「チェックスター」を見に行った

2016年12月24日 12時00分更新

文● 藤山 哲人 編集●北村/ASCII.jp

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 鳥のように自由気ままに空を飛べる飛行機。でも個々の飛行機が自由気ままに飛んでいると、進路が交差してしまったり、前の飛行機に追いついてしまったりでとても危険。飛行機は車と違って速度を落とし過ぎると飛ぶ力(揚力)を失ってしまうので、車のようなフルブレーキをかけられないのだ。

 次の図は、世界各国の飛行機が飛んでいる瞬間を捕らえたもの。一種のレーダー画面だと思ってもいい。右側は日本で、左側はアメリカの南部まで表示してある。この一瞬にも世界には、これだけ多くの飛行機が空を飛んでいるのだ。

右側が日本、左はヨーロッパ。この瞬間に世界中をコレだけの飛行機が飛んでいる。といっても一部

 一見無秩序に飛んでいる飛行機だが、実は道路よりも厳しいルールの元、秩序正しく運航されている。だから混雑していても、安心して目的地まで快適な空の旅を満喫できるのだ。

 その最たるルールが、空にある見えない道とインターチェンジ。先のレーダー画面を見ると、ありの大群が道を成すように、飛行機のマークが道を成しているのが見えてくるだろう。一番分かりやすいのは、アメリカ東海岸を出てヨーロッパに向かう大西洋横断。よく見ると6車線ぐらい軌跡が見えてくるはずだ。

パイロット用の道路地図。これは近畿・四国地方だが、全国に見えない電波の道がある

 こうして空には、目に見えない電波の道が作られていて、高度や速度が厳しく守られている。今回は、見えない空の道を整備する、国土交通省の航空局 交通管制部 運用課の方から、驚きのメンテナンスを教えていただいた。

実機を未ながらお話を伺った国交省の皆さん。左から飛行検査センター 飛行検査官の小黒 和哉さん、同センター 専門官(パイロット)の菊池 義人さん、航空情報・飛行検査高度化企画室 係長の高田 靖士さん、飛行検査センター 次席飛行検査官の水流 良一さん

 先に世界的なレーダー画面を見てもらったが、もう少し身近なところを見てみよう。それが下の画像だ。これは右側が千葉の房総半島、左が山口県までを示したもの。世界地図では無秩序に飛んでいるように見える飛行機も、拡大するとこうしてキレイに順序良く、いくつかのコースの上を飛んでいるのがよくわかるだろう。

緑で表示されている飛行機は、羽田を出発した便、水色は羽田に向かう便を示している

 さらに羽田空港付近だけに着目すると、北から来る飛行機も、南から来る飛行機も、必ず同じ経路をたどって北進しながら羽田空港に着陸(水色の飛行機)している。

 また緑の出発機にも特徴がある。東西南北どちらに行くにしても、羽田を飛び立った瞬間に右旋回するのだ。西に向かっている飛行機ですら、羽田を飛び立つとまず東に旋回する。

直進して飛んでいる飛行機は、画面中央が神奈川県。矢印部分が羽田空港

 このように空港周辺には、まるでインターチェンジのように複雑に入り組んだ道筋があり、飛行機は必ずその筋に沿って飛ぶようになっている。

 また、空港と空港を結ぶ大動脈は、高速道路のように直進する道筋が設定されている。いわば高速道路のようになっているのだ。そして飛行機は前の飛行機を追い抜かないように、一定の距離を置いて順序よく飛んでいるのがよく分かる。

夜になるとよく分かる着陸機の隊列。ここから写真右側奥に大きくターンして羽田に着陸する。羽田空港北側の埋め立て島から撮影

 さらに言うと、国と国をつなぐ国際高速道路も設定されていて、これらは一番高い高度を飛ぶようになっている。なので日本上空を通過するアメリカ-韓国や中国間の飛行機と、国内線の飛行機が同じ経路をたどっても、高度が違うため衝突することがない。

 空港周辺はさらに低空を飛行するので、空港間を結ぶ高速路線と交差していても、これまた衝突することがないように、うまく道が作られているのだ。

白い飛行機は成田発着便もしくは日本上空の高高度の国際高速道路を飛行中の飛行機。羽田発着便と一部交差しているが、高度が違うので衝突しない。よくできてるなぁ

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