このページの本文へ

JAWS-UG東北勉強会レポート 第6回

リモートワーク×クラウドをテーマにしたre:Work meetup Yamagata

実践している先達に学び、山形で新しい働き方について考えた

2016年12月13日 11時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

リモートワークを推進する企業、テレワーカーと東京勤務者の視点

 フリーランスではなくでも、地方で仕事をする人は増えている。特にIT界隈では、リモートワークをしているという人は珍しくなくなりつつある。ベーシックの渡辺 信生さんも、そうしたテレワーカーのひとりだ。

「社会の問題を解決するのが会社のミッションです。だとすれば、もっとも身近な社会である家庭の問題から解決すべきだと思い、ワークライフバランスを考えて山形にUターンしました」(渡辺さん)

ベーシック 渡辺 信生さん

 Uターンを決めたものの、困ったのは転職先だった。ITエンジニアにとって東京の企業で経験できる仕事は、新しい技術に触れる機会が多く刺激もある。そんな経験を知っている渡辺さんの思いを満たせそうな企業は、地方にはなかなか見つからない。収入も東京の企業に比べて下がることを覚悟しなければならない。

「だったら転職ではなく、今の会社のまま山形に引っ越せないかと相談したところ、社長が快諾してくれて山形でリモートワークをすることになりました」(高橋さん)

 筆者のようなフリーランスもそうだが、自宅での作業はパフォーマンスの自己管理が難しい。一方で電話や会議などの割り込みは減るので、集中したい時間に邪魔されることは減る。高橋さんには、後者のメリットが大きかったようだ。リモートワークになってからの方がパフォーマンスがいいと同僚から言われることもあるという。

「しかし、ひとりで作業に没頭するのはいいことばかりでもありません。同僚との雑談から得られる情報や、ちょっとした会話から生まれるアイディアというのも多くあります。そういったものから遠くなってしまいました」(高橋さん)

 そういった経緯もあってか、ベーシックは山形で新たにエンジニアを採用し、サテライトオフィスを開設した。渡辺さんはいまではそのチームとともに山形オフィスで仕事をしている。

 地方でリモートワークをする高橋さんに次いで登場したのは、サーバーワークスの“ぎょり”こと永渕 恭子さん。サーバーワークスはリモートワークを推進している企業のひとつで、リモートワークで業務に当たる社員や少人数地方オフィスを数多く持つ。そんなサーバーワークスの東京本社で働く永淵さんは、「恋愛とテレワークは似ている」と語り始めた。

「好きな人がいたら、会いに行って、自分のことをたくさん知ってもらいたいと思いますよね? テレワークでも同じです。一緒に働く好きな仲間とはいっぱい話したい。一杯話す時間を作るために、ツールを活用します」(永渕さん)

“ぎょり”の愛称で親しまれるサーバーワークス 永渕 恭子さん

 リモートワークが一般化している企業だからこそわかる、スムーズに業務を進めるためのコツ。それが、コミュニケーションをおろそかにしないこと、コミュニケーションロスを減らす努力をすることだと永渕さんは言う。

「サーバーワークスでは全員がslackでコミュニケーションを取っていますが、いくつかのルールを設けています。といっても、slackで2回説明して伝わらなければWeb会議などフェイス・トゥ・フェイスで話をする、など簡単なことばかりですが」(永淵さん)

 簡単なことと言うが、これは実に重要なことだ。文字だけのコミュニケーションではうまく伝わらなかったり、勘違いされてすれ違ったりしてしまいがちだからだ。読者の中にも、仲のいい人との間でさえ、TwitterやFacebookでうまく真意を伝えられずにやきもきした経験を持つ人はいるのではないだろうか。そんなときは、顔を合わせて話をする方が早いし、間違いも少ない。その目安を行き違い2回ときちんと決めているところに大きな意義がある。

ツールの活用にはルールづくりが大切

「社内外を問わず、情報発信も推奨しています。たとえばサーバーワークスのブログもそうですが、どんな情報であっても必要とする人はどこかにいます。情報発信を続けるのは難しいと考えがちですが、発信していればフィードバックがあり新しいインプットが生まれ、そこからまた発信するネタが得られます」(永淵さん)

カテゴリートップへ

この連載の記事