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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第383回

業界に痕跡を残して消えたメーカー サーバー向けチップセットの大御所RCC

2016年11月21日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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インテルが採用するほどの出来だった
Champion 2.0

 続いて1998年後半頃(正確に日付がわからない)に投入されたChampion 2.0はかなり広範に採用されることになった。

 こちらは100MHz FSBのPentium II Xeon/Pentium III Xeonに対応したもので、2P対応のChampion 2.0 LEと4Pまで対応のChampion 2.0 HEの2製品があったことは間違いない。歯切れの悪い書き方なのは、第3世代以降で登場するHE-SLに相当する製品がこの世代で投入されたかはっきりしないためだ。

 最大搭載メモリー量は16GBに達した(Champion 1.0は4GB)が、Pentium Pro以降で搭載したPAE(Physical Address Extention)を使うと最大64GBまで扱えることを考えると、これはCPU側やチップセット側というよりもメモリー側の問題である。

 Champion 2.0はECC付きのPC100 SDRAMを最大16枚サポートしたが、当時は1GBのDIMMが入手できる最大容量であり、どう頑張っても16GBが最大になるし、これでほぼ十分とみなされた。

 ちなみにメモリーコントローラはノースブリッジの先にMADP(Memory Address Data Paths)と呼ばれるコントローラーが4つ付き、この先に各々4つのDIMMスロットが接続されるという変わった構造であった。

 さてこのChampion 2.0は、Champion 1.0に比べるとずいぶん多くの採用が決まった。主要なサーバーメーカーがいずれもChampion 2.0 LEをベースにした2Pのサーバー/ワークステーション向けに採用したほか、4P以上の構成でもやはり使われた。

 なにしろインテル自身が、自社の440GX(2P)や450NX(4P)の代わりに、Champion 2.0を使ったマザーボードを出していたほどだ。Intel SKA4がそれである。

Intel SKA4。4本のSlot 2と6本のPCI-X、2本のPCIが見える。やや小さいが、PCI-Xスロットの右に、RCCのRマークの付いたチップが載っている。メモリーは、PCI-Xスロットの上にある黒いスロットにライザーカード経由で接続される

 下の画像の基板配置は上の写真と上下反転しているので注意されたいが、なかなかゴージャスな構成である。ただRCCのチップセットを使っているとは意地でも書きたくなかったようだ。

Intel SKA4の基板配置。SKA4のTrouble Shooting Guideによれば、SKA4はインテルのSC7000ないしSC4000というサーバーケースとの組み合わせ以外動作を保障しないことになっている

 またSKA4のメモリーはライザーカード経由での接続になるが、下の画像がこのライザーカードの構成だ。実際の写真を見ると、RCCのNB6525-P01というチップが4つ搭載されているのがわかる。

ライザーカードの構成。さすがにMADPという名称まで省くわけにはいかなかった模様。もちろんこれもRCC製である

このチップはECCの保護やChip Killの動作なども行なっていたようだ

 なぜインテルがRCCのチップセットを使ったかといえば、450NXではサポートされないChipKill(*1)や、PCI-Xバスの帯域の違い、HotPlusのサポートなどが挙げられる。

 450NXも理論上はPCI-Xを6スロット出すことも不可能ではないのだが、実際には2つあるPXB(PCI Extender Bridge)の片方を64bit、片方を32bit幅に構成しないとサウスブリッジの接続ができなくなるという問題があり、PCI-Xは5スロットが精一杯だった。

 また通電中にPCIカードの着脱を行なうHot Plug/Un plugには対応していない。SKA4は他にもオンボードでUltra160SCSIコントローラー×2やATI Rageなどを搭載しており、こうしたものを全部つなぐには450NXでは力不足と考えられた。

 インテル自身がRCCのチップセットを使うくらいなので、多くのサーバーメーカーもやはりChampion 2.0を採用した製品を多く投入する。正確な統計はないのだが、この世代では7割以上のx86サーバー向けチップセットのシェアをRCCは獲得できたらしい。

 ついでに余談ながら、この世代で8Pはというと、この市場に向けてインテルは1997年9月にCorollary Inc.を買収していた。Corollaryの持っていたProfusionチップセットは8P構成が可能であり、8P構成についてはこちらを利用するというトレンドが一瞬生まれている。

 ただ、Profusionを搭載した製品が実際に登場したのは2000年末~2001年のこと(*2)であり、おまけにこの後Profusionは「無かったこと」にされてしまった。

 日立のHA8000/300の説明を読むと「Intel社製Profusionアーキテクチャーに基づいて日立開発したチップセット」と書いてあるあたり、Profusionそのままではなにか問題があったとしか思えない。かくしてChampion 2.0の世代では8Pサーバーは事実上ないことになった。

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