いちばんやさしい“ハンダづけ”と“プログラミング”講座/文系女子大生と一緒にKidsVentureと同じことをやってみよう!
2016年11月28日 12時00分更新
いざ! 子供パソコン「IchigoJam」の組み立て開始
尾村「僕たちはよくこの”抵抗”を”イモムシ”と呼んでいるのですが、このイモムシ、全部同じというわけではなく、4本それぞれ違う色がついてるんです。まずはじめに黄色と紫と茶色と金色のラインが入ったイモムシを探してみてください」
視力が悪く色の見分けがつかないという本筋に全く関係のない壁にぶつかりつつ、なんとかR1を見つけ出しました。
ひととおり道具と部品が揃ったところで、実際にハンダ付けをしている動画を見てやり方を確認していきます。もちろん文字やイラストの入ったテキストも配られましたが、映像なら大きな画面に映し出してみれるので、今回のような個別レクチャーでも有効だと思います。しかも、子供でも感覚的に理解できる。ということで、いよいよハンダ付け作業に入っていきます!
部品を基板にハンダづけする7つのステップ
1.取り付ける穴の幅に合わせてイモムシの足を直角に曲げます(まっすぐだったイモムシの足を曲げて“コ”の字の形に)。
2.足を曲げたイモムシを基板の穴に差し込みます。
3.ハンダづけする際にイモムシが穴から落ちないように、穴の外側に向けて足を広げます。
4.ハンダづけする箇所(イモムシの足が穴から出てきたところ)にコテをあて、基板とパーツの両方を1~5秒かけて熱する。
5.そのままコテの先にハンダを押し当て、穴が埋まるまでハンダを溶かし、流す。
6.流し込んだハンダが綺麗な三角の山になったところで先にハンダを離し、続いてコテを離す。
7.ハンダ付けを終えたら、破片が飛ばないよう指でイモムシの足先をつまみながら余計な部分をニッパーで切り落とし、完成。
人生初のハンダ付けでしたが、意外と簡単にできちゃいました!
尾村「これで1個目完成ですね!あと残り70カ所ほどです」
天音「な、70カ所~~~!?!?」
大竹「そうなんです、70カ所…でも、このペースなら意外に早く終わりそうですよ。あとはとくに質問がなければどんどん進めていただくっていう感じでいきますね」
R2~R4のハンダづけも同じ要領で進めていきます。
天音「ところで、部品が落ちないように曲げるって、どれくらい曲げればいいんですか…?」
尾村「う~ん、そうですね、よしなにというか。この質問も、大人が初めて電子工作をやる時に多く出ますね。子供から聞かれたことはないです」
天音「それにしても、こんなものを小学生が作っているなんて信じられないです」
尾村「小学生だけじゃなくて、中には幼稚園の年長さんもいますよ」
天音「え、年長さん!? 信じられない」
尾村「続いてmicroUSB端子はですね、刺して、パタンとします」
天音「刺して、パタン?」
“Don't think. Feel!”といったところでしょうか? とにかくやってみましょう。
なるほど、これはやってもらうしかないですね。ものすごく的確なアドバイスでした! microUSB端子もあとはハンダづけをするだけ。取れやすい部分なのでハンダを多めにつけるのがミソ。R1~R4と同じく基本的な手順でハンダ付けできます。
次にスライドスイッチですが、このパーツは特に足を曲げたりする必要もなくそのまま差し込んでハンダづけするだけ。しかし、見ての通りこの飛び出したレバーのせいでひっくり返したときに基板に対して斜めになってしまうんです。その状態のままハンダづけしたところ、案の定スイッチが斜めについてしまいました。
天音「あのぉ、すっごい斜めになっちゃたんですけど、大丈夫ですかねこれは」
大竹「いや、でもそれくらいだったら意外と大丈夫ですよ。もっと斜めになってる子もいますし」
尾村「裏面を温め直せば取れるので直せることには直せるんですけど、三箇所同時にあたためないと取れないんです。冷えると固まっちゃうので。かなり熱くなるので普段は講師がやってあげているんですが、自分でやった方が絵になりますね(笑)」
ということで、大人の事情でチャレンジすることに……。注意されていたにもかかわらず「なかなか取れないな?」なんて言いながらコテをあて続けていたところ、熱せられたスイッチで軽く火傷してしまいました。
こちらも基本的なハンダづけの手順で進めていきます。しかし、正しい方法を正確に理解しないままやっていることもあり、「ハンダづけのコツとかってありますか?」と尾村さんに聞いたところ、「僕も別に本とか読んでいるわけではないし感覚でできちゃうんだけど、強いて言うならばよく熱することかな」とおっしゃっていました。
このタクトスイッチがなかなか硬く、入らない! 故障してるのでは? と言ってしまいましたが、単に力の問題だそうです。言いがかりつけてすいませんっ。
無事はめ込みに成功したときには、指にボタンの跡がくっきりとついていました。意外なところで苦戦を強いられました。
USB端子は、基板にそのまま差し込んでハンダづけ。注意書きにもある通りかなり熱くなりやすいので、やる際には注意が必要です。
大竹「あ、ここはですね、結構、穴が大きいのでたくさんハンダを流さないといけないところですね。いや~それにしてもだいぶ慣れてきましたね!」
天音「あ、本当ですかありがとうございます!」
尾村「それでもやっぱり、子供に比べて慎重な感じですねぇ(笑)」
電子工作もプログラミングも、苦手意識がつく前にやってしまうのがよさそうと、前回、KidsVentureを見学したときの感想を書かせてもらいました。今回、まさに私がそのパターンにはまっているのかもしれません。
尾村「大人はみんなそうで、失敗したらどうなるかというのが分かってしまうからですね。逆に、大人は1回慣れてもう大丈夫だとなるとサラサラと進められるようになります。《オレって、これもう仕事にできるんじゃないか?》って具合になります」
なるほど、大人は、そういうことなんですね。
LEDと3端子レギュレーターは、ハンダづけする向きに決まりがあり、間違えてつけると動かなくなってしまいます。実際の教室では講師の方のチェックが入るポイントだそうです。
LED1は足の長い方を内側、3端子レギュレーターは平らな方を内側にする必要があります。よくチェックしてからハンダ付けしましょう。
大竹「いまちょうどハンダ点数的には折り返し地点ですね」
ちなみに、ここまでの所要時間はだいたい30分でした。
尾村「完成したときにここの上にいろいろな部品がのってくるので、ここはとくに斜めにならないように注意する必要があります。しかも、見ての通りこのパーツはハンダづけする箇所が多いですよね。先ほど実際にやってみて分かったと思うのですが、これを全部ハンダづけし直すとなるとかなり大変です。そこで、ここではいちど、1つだけ付けたら斜めになっていないかしっかりと確認してみてください」
こちらもひとつ前の14Pソケットと同じく、1箇所つけたら確認、という流れで進めていきます。
天音「このハンダゴテの先っちょについたダマダマはどうしましょう?」
尾村「それはですね、コテ台の下にあるスポンジでぬぐってください。そのためのスポンジなので」
最後にビデオ端子もハンダ付けして、全体で75カ所にもおよぶハンダ付け作業は、1時間と10分程度で完成!
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