ASCII倶楽部

このページの本文へ

スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典 第18回

ドコモ格安スマホ「MONO」や高性能SIMフリー「AXON 7」を生み出すZTEのこだわり

2016年11月13日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ハイレゾサウンド対応の「AXON 7」シリーズや、キャリア向けカスタマイズモデルを次々と送り出すZTE。

 同社はスマートフォン以前から携帯電話市場に参入しており、これまでに数々の名機を送り出してきました。

 前編では、Android登場初期のモデルから、Windows Phone、Firefox OS搭載スマホなど、いわゆる「第3のOS」の製品も出していた頃を振り返りました

 今回は、2012年の「Nubia」ブランド登場時からZTEのスマートフォンの歴史を振り返ってみましょう。

ZTEのイメージを一新させる「Nubia」ブランド

 2012年12月26日、ZTEは新ブランド「Nubia」の最初の製品となる「Nubia Z5」を発表しました。

 Nubiaは古代エジプトの地名で文明発祥の地としても知られる名称であり、新世代のスマートフォンの名前として採用されました。本体はイタリアのデザイナー、Stefano Giovannon氏が手掛け、直感的に操作できるUIを搭載。

 また、カメラ機能を強化し、手動調整や分離測光にも対応するなど、高デザイン、高性能を目指したモデルでした。

 Nubia Z5が他のスマートフォンと異なっていたのはそれだけではありません。本体価格は3456元(約5万3200円)、限定のチタンバージョンは7980元(約12万2800円)。スペックはCPUがSnapdragon 600、メモリー2GB、ストレージ32GB、5型のフルHD解像度(1080×1920ドット)ディスプレー、背面カメラ1300万画素、正面カメラ200万画素といわゆるミドルハイレンジモデルでした。

 一方、当時中国で旋風を巻き起こしていたシャオミの初代モデル「Mi 1」の価格はわずかに1999元(約3万800円)。「iPhoneの半額以下で、同じ性能!」と話題になったシャオミの裏で、Nubiaは倍以上の価格の製品を出し、ヒットさせたのです。

Nubiaは特にカメラを強化。Z9ではベゼルレス設計のボディーに

 Nubiaはその後も精力的に製品を出し続け、2014年春には6.4型の大型ディスプレー搭載の「Nubia X6」を発表。リアに加えフロント側も1300万画素カメラを搭載するという、強力なセルフィー向けスマートフォンでした。

 そして、同年夏の「Nubia Z7」では星空撮影機能を搭載。カメラ画質は1300万画素のままですが、最大1200秒(20分)の長時間露光に対応。三脚を使えば星空の動きを撮影できたのです。

 このようにNubiaはシャオミやファーウェイが製品を強化していった低価格機とは全く異なる、カメララの機能の高価格帯スマートフォンとしてのブランド力を高めていきました。

 なお、2015年にはグローバル展開を狙った「Nubia My Prague」を発表。当初Nubiaは中国をはじめロシアやヨーロッパへの展開を図りましたが、X6以降は中国国内に特化。中国での人気を受けて、再び海外市場への進出を本格化させることにしたもの。

 「プラハ」は芸術やロマンス、愛のシンボルのイメージがあり、Nubiaのブランドとマッチすることから名づけられました。NubiaはZTEとは別会社ですが、ZTEを始め中国の大手家電量販店「Suning」(蘇寧電器)などが出資しています。

パッケージングも美しいNubia My Prague。なお、小さい赤丸のホームボタンがNubiaのアイデンティティー

AXONシリーズでブランド力アップ、巻き返しを図る

 ZTEブランドのスマートフォンは中低価格機を中心に販売数を伸ばしていったものの、フラッグシップモデルと呼べる、柱になる製品はなかなか育ちませんでした。

 Blade、Grandの両シリーズも次々に後継モデルを出していくものの、他メーカーの上位モデルに対抗できる製品はNubiaに任せ、ZTEブランドのスマートフォンはボリュームを狙う戦略を取っていたのかもしれません。

 しかし、スマートフォンの機能アップの研究は地道に続けており、2014年12月にはシステムレベルで音声認識をサポートする「ZTE Star 2」を発表します。

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!