このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

聴く音楽を選ばない性能、作り込みが良い1万円台イヤフォン「MA750」

2016年08月27日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

音楽のジャンルを問わない性能

 ただ、太くてゴワッとした感触のケーブルはマイナス要素かもしれません。いかにも丈夫そうで絡まりにくく、全体の堅牢性を考えればいいチョイスなのですが、グレーのシースーは業務用の線材のようで、見た目の釣り合いはいまひとつ。特に女性はどうなんだろうという気が。

 それでも、実際に使ってみると、そういう細かいことはどうでもいいように思えてきます。

 まず一聴してわかるのはワイドレンジな特性。特にローエンドのレスポンスがしっかりあることです。正弦波のピッチをどんどん落としていって、可聴帯域の下限まで大きく音量が変わらないイヤフォンは珍しい。

 そして聴き込むほど良さを感じるのが、中高域のフラットさ。ほかのイヤフォンから取り替えた直後は、高域側が足りないように感じるものの、それは特定の帯域にピークを持たず、耳につく成分がないため。実際にはハイエンドまでしっかりレスポンスがあり、低域とのつながりも自然で文句ありません。

 ダイナミック型一発としては解像性能も望外で、低域の空気感、中高域の奥行きといった、音場感を構成する微細な情報も伝えてきます。ダイナミック型一発でこれができるなら、下手なハイブリッド型はいらないのでは、と思えるくらい。こうした印象も、ピークを持つ特定の帯域にマスクされないから。総じて、チューニングの筋が通っているところには感心します。

 よくできたオーディオ機器は音楽のジャンルを問わず使えるものですが、このMA750もそれに当たります。使いやすく丈夫な、ちょっと贅沢なイヤフォンとして、オススメです。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中