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「マニタ書房」オーナーでもあるとみさわ氏にインタビュー

馬鹿じゃないのと言われても、楽しい。エアコレクションの魅力を『無限の本棚』著者に聞く

2016年07月31日 17時00分更新

文● 聞き手● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所)編集● ASCII編集部

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『無限の本棚』(アスペクト刊)という変わった題名の本が売れているのをご存知だろうか? その中に登場するのが「エアコレクション」という言葉だ。「コレクション」と聞いてピクッと来る方も多いはずだが、それでは「エアコレクション」とは?著者であるポケモンシリーズのシナリオライターやゲーム誌などのライターとして活躍後、現在は神保町の古書店「マニタ書房」の店主とみさわ昭仁氏に、その神髄を聞いた。

開店当初のマニタ書房。神保町交差点から徒歩3分、エレベーターのないビルの4階にある

ブックオフとアマゾンの間には“背取り”アプリがある

――『無限の本棚』を読ませてもらいましたが、いちばん凄いなと思ったのがアプリの話です。とみさわさんが、全国に900店近くあるというブックオフの全店制覇をめざしているという話も凄いんだけど、ブックオフの店頭で本のバーコードを読むアプリを使っている人たちがいるという話です。

とみさわ「そうです。“背取りアプリ”というアプリがあるらしいんです、有料アプリらしいんですが。ブックオフでバーコードをピッと1冊ずつ読み込んでいくと、Amazonのマーケットプレイスで過去高く売れた本リストっていうのがあるらしいんですけど、それを参照してこの本は買う価値があるかというのが出るらしいんです。で、その本を抜いてドサっとカゴに入れてまた次の棚へ、というふうにやってる人たちがいるんですよね。

――デジタル背取り※ですね。

(※背取り:古書業界の用語で掘り出し物を探して買い取り転売すること)

とみさわ「そういう人たちが仕入れるのはたいていビジネス書なんですよね。今売れている本を選ぶらしいんです。つまり、すぐに売れる本を選ぶ。ただだからといって、それを108円で買ってAmazonで700、1000円って売れるわけじゃないんです。そこで、Amazonでそういう本が1円で出品されてたりするんです。1円で売ってどうすんの?って思ってたんですけど、Amazonでは送料は1冊250円くらいと決まっているので、いろいろ廃材使ったり送料の節約をしてその差額で儲けを出すらしいです。

――あの1円の出品にはそういう話があるんですね。

とみさわ「そうみたいです。アプリを作っている側は儲かるけどアプリを買った人たちは全然儲からなくて辞める人たちが多いんじゃないかと思ってましたが、まだやっている人はいるみたいですね。利益が出るからやっている人がいるとは思うんですけど、どのくらい儲かるかは分からないですね」

――意外にそういう作業自体が楽しい人がいるのかもしれないですね。

とみさわ「そうかもしれないですね。楽しいのかな」

――パチンコのプロの人たちとかも、朝から出勤(?)して1つ2つと数えながら玉を弾いていて一定回数の間に何回玉がチューリップなんかに入るかを見て、平均値で稼げない台は捨てて次の台に行くみたいな話があるじゃないですか? そのアプリを使う人たちって、アマゾンのシステムの一部になっている感覚が逆に気持ちいいとかあるんじゃないですかね? それで時給的に稼げるならいいですよね。

とみさわ「僕自身は自分の目利きで背取りをしていて、儲かっているかというと家賃を考えたら全然儲かっちゃいないんだけど、その代わりものすごい楽しいわけですこの活動が(笑)」

――一般的な古本屋って、お客さんから買い取ったり、神保町の古書組合に入っているお店だと競りで落として仕入れているそうですが、とみさわさんはブックオフ専門なんですよね。

とみさわ「全国にいま約900店舗ある中で500店舗くらい行っています。4年半くらいかかっていますが。電車で行けるところはリュックを背負って、地方に行くときは車か新幹線で。だいたい地方のブックオフは駅前にないのでレンタカーを借りて行きます。買った本は宅配便で送って、帰ってから受け取ります。

 一時期、珍本好きの友人がブックオフで集めて持ってきてくれた本の買い取りをしてたんですが、だんだんつまんなくなってきちゃったんです。その友人がツイッターで『今日の収穫』とか上げているのを見ると、それを自分がやりたいんだと思うようになって。買ってきてくれた本を引き取るのは効率が良くて納得がいくのですが、やっぱりモノが集まればいいわけじゃないんですよね。

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