螺旋でプラズマを閉じ込める
大型ヘリカル装置(LHD、Large Helical Device)について触れていこう。ヘリカルは螺旋形状の意味。磁場閉じ込めの場合、プラズマは磁力線の周囲で螺旋を描く動きをするが、そのヘリカルではなく、超伝導コイル自体が螺旋を描いているため、ヘリカル型と呼ばれる。
プラズマを加熱するための機器とプラズマを磁場で閉じ込めるための真空容器を中心に構築されており、外観はプラント的なビジュアルだ。
真空容器内は1対の巨大な螺旋を描く超伝導ヘリカルコイルが印象的。磁力線もヘリカルの形状に沿って生じるため、ひねりの加わったものになり、プラズマもそれ沿った形になるため、螺旋状のコイルの中でさらに螺旋を描くことになる。
なぜこの形なのかというと、終わりのないドーナツ型の磁力線のカゴを作るためで、これをヘリオトロン配位という。
またLHDのコイルシステムは上記の超伝導ヘリカルコイルだけでなく、容器の上下と中央に円形の超伝導ポロイダルコイルと上下に共鳴摂動磁場コイルで構成されている。
メリットとしては、定常運転能力が高く、プラズマの閉じ込めに重要な「ひねり」をコイルのみで実現できるところにあり、この仕様は日本で発案されたものだ。
前回紹介しました研究所の紹介ビデオから、装置(大型ヘリカル装置LHD)内部の映像をトリミングしました。後半のオーロラのような画像は、生成されるプラズマをスーパーコンピュータでシミュレーションしたものです。 pic.twitter.com/HrcV7tKzel
— 核融合科学研究所 (@NIFSplasma) 2016年6月22日
LHDのサイズは、外径13.5m、高さ9.1m、重量約1500t。真空容器の中にガスが満ちた状態から、加熱でプラズマが生じ、最終的にプラズマの直径は約8mになり、太さは1.0m〜1.2mになるという。
内部は総数約7000枚のステンレスの保護板で覆われており、うねっている螺旋構造体の奥に超伝導コイルがある。コイル内部にはニオブ・スズ導線があり、その総延長は36kmほど。ほぼ山手線の総延長に近い。なお、プラズマ実験中、保護板の表面温度は100度程度とのこと。