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伊藤園がシリコンバレーに残した新たな文化

連載
大手に訊くスタートアップ支援の狙い

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大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。

伊藤園 第3回(全4回)

 シリコンバレーのエンジニア達のニーズを開拓し、緑茶ブームを巻き起こした伊藤園広告宣伝部の角野賢一氏。同氏はなぜベンチャー支援の取り組み“茶ッカソン”を立ち上げるに至ったのか、これまでに引き続き話を訊いた。

伊藤園の第1回目から読む

帰国を前にして誕生した“茶ッカソン”

 角野氏がアメリカ西海岸に赴任して5年経った2014年、そろそろ日本への帰国の話が持ちあがるようになる。シリコンバレーを中心に無糖の緑茶飲料を定着させることに成功し、営業成績も上がったものの、このまま普通に日本に帰ったのでは少し物足りない──。

 そう考えていた角野氏は、せっかく知り合えた数多くのシリコンバレーの人々とその文化を活用して、世の中にインパクトを与えることができないか模索するようになる。またこの先、伊藤園が無糖のお茶を引っさげて世界中に出て行く可能性を考えたとき、健康や美味しさにプラスアルファの差別化ポイントをつくることができたら良いのではないかと考えた。そこで角野氏が着目したのが、同社に根付く文化だったのだ。

「伊藤園は単に飲料の会社なのではなくて、お茶の会社なのだと、そういうニュアンスをうまく表現できたら差別化にもなるし、世界中に愛されるようになるのではと考えました。ちょうどシリコンバレーではハッカソンが流行っていたので、それと当社のお茶の文化を組み合わせたら、おもしろいんじゃないかと考えたんです」と角野氏は語る。

 現地で親交を深めていたニフティのイベントオーガナイザー・河原あず氏に相談したところ、次々とアイデア が広がるとともに、彼のアイデアで“茶ッカソン”というキャッチーなネーミン グも誕生し、河原氏とのディスカッションを通じて、茶ッカソンのコンセプトの大枠が固まっていった。

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