このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

業界人の《ことば》から 第203回

ソニーAIやロボットで本気出す、20年ぶり営業利益5000億円へ

2016年07月05日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今回のことば

 「エレクトロニクス領域において、新たな事業機会を創出する取り組みを加速すべき時が来た。エレクトロニクスにAIやロボティクスを組み合わせ、住空間、都市空間に展開する」(ソニーの平井一夫社長)

20年ぶりの営業利益5000億円を目指すソニー

 ソニーの平井一夫社長は6月29日、経営方針説明を行なった。そのなかで、注視しておきたいポイントが2つある。

 ひとつは、2017年度までの中期経営計画の目標として掲げていたROE10%以上、連結営業利益5000億円以上という数値目標を据え置いたことだ。

 2015年度からスタートした3ヵ年の中期経営計画では、デバイス事業の成長を軸とした成長戦略を描いていたが、スマートフォン市場の需要鈍化によりデバイス事業の成長が減速。さらに、イメージセンサーなどの主力工場のひとつである熊本テクノロジーセンターが熊本地震の影響を受けて、一部生産を停止。デバイス事業の成長戦略の見直しが余儀なくされていた。

 今回の発表ではデバイス事業の売上高は、当初計画の1兆3000億円~1兆5000億円であったものを1兆円~1兆500億円に減額。営業利益率も10~12%から5~7%へと縮小。デバイス事業のなかでも主力となる半導体事業は、売上高が1兆1000億円~1兆2500億円であった計画を、7800~8300億円に削減。営業利益率も10~12%としていたものを6~8%に修正した。

 だが、成長牽引事業とするゲーム&ネットワークサービス分野の上方修正などにより、5000億円以上の営業利益の目標は維持。「コンシューマエレクトロニクスの復活が、2017年度の営業利益目標である5000億円達成を下支えする」と位置づけた。

ゲーム&ネットワークサービス分野は2~5%ほど利益率が高くなると修正されている

 そして下方修正を余儀なくされたデバイス事業も「依然として成長牽引領域であることに変わりはない」とし、「イメージセンサーは2017年度までは利益成長のスピードが鈍化することが避けられない事業ではあるが、中長期の視点で見ると新たな用途の立ち上がりも期待され、潜在的に大きな成長が期待できる事業であるとの認識には変わりがない」とする。

 複眼化や大画素数センサーの需要拡大などのほか、監視カメラ用途やFA、ドローンを含むIoT、車載でのセンサー需要の拡大を想定。「技術的優位性を持つソニーにとって有利な環境になってくる。買収も積極化していくことになる」と述べた。

 ソニーの歴史において営業利益が5000億円以上となったのは、1997年に5257億円を計上した一度だけ。平井社長は「20年ぶり2回目への挑戦はチャレンジングな目標であるが、これはソニーが高収益企業に変容するために大変重要なマイルストーンであると考えている」と語り、「ソニーは、再び成長に向けた歩みを始めた」と語った。

 もうひとつのポイントは、新たな事業の創出に向けて、強い意思を持って取り組む姿勢を強調したことだ。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ