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高橋幸治のデジタルカルチャー斜め読み 第27回

著作権法に対するハックでもあるクリエイティブ・コモンズ

2016年07月05日 09時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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クリエイティブ・コモンズの思想な側面はすでに社会に実装された

高橋 日本は米国に次いで2番目にクリエイティブ・コモンズが設立された国であるというお話をうかがいましたが、たとえば日本大学芸術学部の僕の学生なんかに聞くとクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの存在を知らなかったりするんですね。彼らなんて自分たちの創作を支援してくれるデジタル技術が身近かつ安価にあるわけで、しかもソフトウェア的な知財の共有が一定のルールさえ守れば自由に使える環境になっているんだからホントにもったいないと思うんです。

水野 確かにそうですね。若い人たちにもっと知ってもらって、もっと使ってもらえるといいんですけどね。とはいえ、インターネット時代のオープンとかフリーとかシェアとかいった感覚は、もう社会の中にかなり浸透して確実に実装されたという気はするんです。

 個人的には、考えていたよりもそうした時代が早く到来したなと思っています。だから、若い人たちなんかはもうそうした感性が血肉化されてしまっているので、改めて「クリエイティブ・コモンズとは?」なんていうことを説明するまでもないのかなという。

高橋 それはあるかもしれませんね。クリエイティブ・コモンズが掲げた思想的な側面は、クリエイティブ・コモンズの実際的な知名度を超えてもはや社会の相当な領域に定着してしまっているという気はします。

水野 ここ3~4年くらいで急速に社会の中での認識が変わったんじゃないですかね。それまで、オープンとかフリーとかシェアなんて口に出すと「またー、そんな慈善事業みたいなこと言っちゃって……」なんてなかば呆れられたりしましたけど、いまや大企業でもそうした価値観がインターネットの中だけでなく外においても不可欠の要素であるという認識を持っていますからね。

高橋 確かに、ほんのちょっと前まで「そんな世界が当たり前になったらどうやって経済が成り立つんだよ!」なんて怒られちゃったりしていましたからね(笑)。

水野 まさに。多くの人たちの意識が変わったということだけでなく、具体的な成果としてもドワンゴの「ニコニ・コモンズ」とかクリプトン・フューチャー・メディアの「ピアプロ・キャラクター・ライセンス」は、クリエイティブ・コモンズを下敷きに作られたりしています。クリエイティブ・コモンズの精神や思想のDNAはミーム(文化的遺伝子)としてさまざまなところに拡散していることは確かなんです。もちろんまだまだ普及/啓蒙の活動に関してはやれることがたくさんあるとは思っていますけどね。

初音ミクなどを開発するクリプトン・フューチャー・メディアが独自に定めた創作物の二次利用などに関するガイドラインピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスをベースに策定されている

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